内容説明
近代日本における明治期とは、征韓論の昂揚にはじまり、朝鮮への進出を目的とした日清・日露戦争をへて、韓国併合で幕を閉じた時代である。中国を中心とする伝統的な国際秩序が、西欧に起源する資本主義の世界体制に組み込まれ解体を余儀なくされる過程にあって、「文明開化」「脱亜入欧」の日本は東アジアの内部からそれを食い破るべくふるまい、朝鮮侵略をすすめた。そのなかで、どのような議論が展開されたのか。西郷隆盛はじめ福沢諭吉、大井憲太郎、樽井藤吉、井上毅から与謝野鉄幹らにいたるさまざまな朝鮮論を検討し、近代日本人のアジア認識について考える。
目次
第1章 維新の理念と「征韓」―明治初期の日朝関係と征韓論
第2章 朝貢関係と万国公法―井上毅の琉球・朝鮮政策論
第3章 「脱亜論」の前後―福沢諭吉の朝鮮論
第4章 民権革命と朝鮮侵攻計画―大阪事件における朝鮮
第5章 東アジア「連帯」の内実―『大東合邦論』の朝鮮観
第6章 日清戦争と東アジア世界の解体
第7章 日本による朝鮮王妃の虐殺―閔妃殺害事件
第8章 朝鮮で詠む「志士」の歌―与謝野鉄幹の朝鮮体験
第9章 日露戦争と朝鮮の植民地化―日本における「韓国併合」史の研究
第10章 「日本人の朝鮮観」をめぐって―戦後日本の朝鮮史研究
著者等紹介
吉野誠[ヨシノマコト]
1948年、千葉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。東海大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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