内容説明
日本の近代化は、欧米をモデルにした資本主義化であり、脱伝統などの発展理論を取り入れて社会を大きく変容させていった。そのなかで、民衆の生活・心性も大きく変わっていき、同時にうち続く戦争は、地域や国家による戦没者の供養・慰霊と招魂の時代をもたらした。本書は、近世から近代へと時代が移行するなかで変容していった人びとの生活・労働・信仰などのあり方を、東北の仙台地域を主な舞台として論じ、伝統社会から近代社会へと移り変わっていく歴史を民衆の視点から明らかにする。
目次
問題意識と方法論
第1部 労働と経済(生産・分配・消費)と民俗の変遷(近代の村落のしくみと生活の民俗;用材・薪炭燃料と流送の民俗;市場と民俗―地域の「小商品」と市場形成にみる歴史的役割と意義;築地魚市場と民俗―中央卸売市場の形成と展開)
第2部 地域と国家のイデオロギー(意識諸形態)の統合と民俗の変遷(正月迎えの切り紙―おかざり・きりこ・きざみもの;地域と国家の祭りと年中行事;祭りと渡物の変遷―地方都市祭礼の成立・展開と復興;藩祖祭祀の変遷―誰が藩祖伊達政宗を祀るのか;誰が戦没者を祀るのか)
著者等紹介
佐藤雅也[サトウマサヤ]
1959年生まれ。立命館大学経営学部卒業・文学部卒業。大和証券株式会社総合職を経て、1987年より仙台市歴史民俗資料館学芸員。1999年より宮城学院女子大学非常勤講師などを兼務し、現在にいたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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