内容説明
現代の日本において「政」と「官」の関係が大きな注目を集めている。この関係性は政策の決定、その実施と不可分であり、この国の現在に作用するだけでなく、行く末をも左右する。両者を近代日本の所産と見れば、歴史学からのアプローチもまた可能であろう。本書は、その源流を明治維新に見出し、政治の表舞台と共に社会をも見渡しつつ、幕藩制国家から明治国家へと大転換がなされる中での「政」と「官」の形成と展開を考察するものである。
目次
1 明治初年の政官関係(大隈重信の政治的・行政的基盤と「事務局」;参議兼工部卿伊藤博文と工部省の政策過程)
2 「政」と「官」の胎動(明治政府草創期における国是・官制と福岡孝弟;金内嘉十郎と衆議―新潟県栃尾郷を事例に;勝海舟と静岡藩の御貸人)
3 「政」の課題(統帥権の独立と山県有朋―西南戦争中の軍事指揮をめぐる問題;征韓論政変と岩倉具視;大久保利道と宮中改革)