内容説明
現代世界のなかで無視できない中東の大国イラン。その現代史は欧米諸国への従属と抵抗に彩られている。19世紀から21世紀の現在まで、欧米列強の度重なる露骨な介入と支配に対して、あるときはそれを受容し、またときにはそれに激しく反発・抵抗してきたイランの歴史を平易に解説する入門書。「核開発」疑惑や「テロ」問題に絡めて、欧米から貼られる「イスラム原理主義国家」というレッテルとは一線を画し、イラン内部の葛藤や苦悩にも光を当て、この国の真の姿と歴史のダイナミズムを描き出す。初版に改訂を施し、さらに2001年から2019年に至るイラン政治と国際政治の激動に関する新章を加えた待望の「改訂増補」版。
目次
序論 「域内大国」イランの特異性
第1章 19世紀帝国主義時代下のイラン
第2章 立憲革命の展開と政治危機の深化
第3章 第一次大戦と戦後イランの混迷
第4章 レザー・シャー独裁王政の成立と変転
第5章 石油、冷戦と民族的抵抗
第6章 「改革」志向の独裁と米国、そして抵抗運動
第7章 革命、戦争と「党派対立」の激化
第8章 さらなる苦難の道へ
著者等紹介
吉村慎太郎[ヨシムラシンタロウ]
1955年生まれ、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学、現在、広島大学大学院人間社会科学研究科教授、一橋大学言語社会研究科博士(学術)。専門はイラン近現代史と中東国際関係(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mongkeke_tarikh
4
あまり近現代史は読み進める度に気が重くなるので避けて来たんだけど、先日父から突如勧められて何年かぶりに手に取った次第だった。18世紀前半にサファヴィー朝がどういう訳か滅びてしまい、19世紀初頭に辛うじて成立したガージャール朝は、そもそも支配正統性も権力機構も脆弱な王朝で、そこに北方からはロシアが、南方からはインドを通じて英国からの様々な干渉を以後150年程に渡って蒙る事になった。本書は、そのガージャール朝の成立からパフレヴィー朝、イラン革命を経て、2019年までのイラン政治史を簡潔な筆致で書き上げている。2020/06/27
Maumim
1
学生時代にこの先生の講義を聞いていたのを懐かしく思い出して。当時まさか自分がイランに執着するようになろうとは露にも思わず。トランプ大統領のイラン施策まで踏み込む最新政治情報。2020/07/12
つきの
0
内容的にはさほど難しくはないが、法律の条文を順番に読んでいるような平坦さで細かい事実が淡々と述べてあり、中身に興味をそそられるとは言い難い。歴史的に重要と思われる出来事も深く立ち入りせずにさらっと流される。また、出版物にしてはかなり誤字脱字が多いのも気になった。2024/04/09