内容説明
ドラ猫はなぜお魚くわえて逃げるのか。ヨソサマの家に忍び込んでは食卓の魚をかすめ取り、堂々と逃げ去る通称「ドラ猫」。変わりゆく人々の暮らしや街並みに、いったい彼らはどう適応してきたのだろう。貴重な愛玩動物として繋がれていた平安の世に始まり、ネズミ捕りを期待された江戸、昭和から、「癒し」の存在となった今日に至るまで。変幻自在に繰り広げられたサバイバルの歴史と戦略を、軽妙な筆致で綴る「ドラ猫賛歌」!
目次
序章 「ドラ猫」総論
第1章 「肉食系巨大グループ」の頂点にのぼり詰めた猫
第2章 「イエネコ」のはじまりはネズミとともに
第3章 平安京の貴族はなぜ猫を繋いだのか
第4章 猫はなぜ化けたのか
第5章 ドラ猫のスタンダードは短尾の日本猫
第6章 明治から平成へ~ニッポン猫陣地変遷史
第7章 「太々しすぎるドラ猫」たちが未来を拓く
終章 人生に寄り添うドラ猫たち
著者等紹介
沼田朗[ヌマタホガラ]
1959年東京・板橋区生まれ。多摩芸術学園絵画科卒。犬について数多くの著書がある父・沼田陽一の影響で、幼い頃から犬や猫に囲まれて暮らし、培われた観察眼を生かして『ネコ「Cat」無用の雑学知識』などを上梓。『恐竜びっくり読本』などの著書もあり、恐竜からペット動物まで、生き物にまつわる知識は多岐にわたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
14
ヒト・ネコ、たまにイヌの、平安~江戸、現在にいたるまでの歴史。少々流し読み。それよりも!子供の頃に読んだ、エアデールテリアを溺愛するおじさんのエッセイ。この本の著者さんのお父様の本でした。小学生の頃、初めて図書館の大人ゾーンに進入。動物がらみの本を探して読んで、「なんだ大人の本読めるじゃん!」と感じたことを思い出して、感動しました。なんとなく誰の本だったんだろうと思っていたので、スッキリ!2019/11/07
nchtakayama
6
サザエさんの歌に出てくるようなドラ猫が誕生したいきさつが、作者なりの解釈で書かれています。恐竜時代の話、平安貴族の猫との交流、猫股・化け猫伝説など、この本を読んでいるあいだは猫のことで頭をいっぱいに出来て幸せでした。猫を見ていると心に去来する、大自然と命の歴史と甘い睡気の混ざったあの感じの秘密は次の一文……「戦いの放棄に成功して、時折イラッとしながらも、気持ちよさそうに平和を保ち続けていられる猫たち。それはまるで『桃源郷』のようだ」(244頁)…周辺で少しはっきりしたような気がします。2019/09/18
よ
3
書店にて、目当ての本の横にたまたま見つけて手に取ったのが、この本との出会い。表紙にあるなんとも可愛らしいドラ猫の絵にやられてジャケ買い。そこに綴られていたのは、平安時代まで遡って描かれる猫たちの太々しい生き様。「人に気付かれずに膝に乗る方法」、「ドラ化」や「ぬしってる」等、筆者の言葉の至る所に猫への愛が感じられた。「その人がどんな信条で、どういう生き方をしているのか。そんなことには一切斟酌せず、縁あった猫はただ縁あった人に寄り添い、その人とともに生きている。」ジャケ買いして良かった。偶然の出会いに感謝。2020/07/03
まい
1
【音訳原本】ちょっと薄っぺらいなぁ、というのが正直な感想。著者は何を以って「ドラ猫」の「ドラ」と称したいのか。深い考察なしに使い過ぎと思ってしまう。作業をする上で一部目を通した参考文献の中に、数冊面白そうな本があった。折りを見て読んでみたい。2020/04/09