出版社内容情報
柄谷行人「将来、後藤明生を反復するやつが間違いなく出てくる」(【対談編】「文学の志」より)
「内向の世代」とはいったい何だったのか?
すべて「単行本未収録」の近代文学史の貴重な証言が満載!
【全て単行本初収録・戦後文学の貴重な証言満載の座談集】
後藤明生はじめ、阿部昭、黒井千次、坂上弘、古井由吉など、サラリーマンをしながら小説を執筆した「内向の世代」の作家たちが集結した「伝説」の連続座談会をはじめ、1970年代から1990年代に行われた、全て単行本初収録の座談集。また、実作者でありながら優れた理論家でもあった後藤が提唱した「小説を読まずに小説を書いた人はいない」という考えに基づく「千円札文学論」など独自の文学論を開陳。全ての文学ファン&研究者が必携の書。『対談篇』も同時刊行。
もくじ
?現代作家の条件|一九七〇年三月|×阿部昭×黒井千次×坂上弘×古井由吉
?現代作家の課題|一九七〇年九月|×阿部昭×黒井千次×坂上弘×古井由吉×秋山駿
?現代文学の可能性――志賀直哉をめぐって|一九七二年一月|×阿部昭×黒井千次×坂上弘×古井由吉
?小説の現在と未来|一九七二年九月|×阿部昭×小島信夫
?飢えの時代の生存感覚|一九七三年三月|×秋山駿×加賀乙彦
?創作と批評|一九七四年七月|×阿部昭×黒井千次×坂上弘×古井由吉
?外国文学と私の言葉――自前の思想と手製の言葉|一九七八年四月|×飯島耕一×中野孝次
?「方法」としてのゴーゴリ|一九八二年二月|×小島信夫×キム・レーホ
?小説の方法?現代文学の行方をめぐって|一九八九年八月|×小島信夫×田久保英夫
?日本文学の伝統性と国際性|一九九〇年五月|×大庭みな子×中村真一郎×鈴木貞美
?日本近代文学は文学のバブルだった|一九九六年一月|×蓮實重?×久間十義
?文学の責任――「内向の世代」の現在|一九九六年三月|×黒井千次×坂上弘×高井有一×田久保英夫×古井由吉×三浦雅士
?われらの世紀の〈文学〉は|一九九六年八月|×小島信夫×古井由吉×平岡篤頼
後藤 明生[ゴトウ メイセイ]
後藤明生|ごとう・めいせい(一九三二年四月四日 ― 一九九九年八月二日)
「内向の世代」の作家として知られる後藤明生(本名・正明=まさあき)は、一九三二年四月四日、朝鮮咸鏡南道永興郡(現在の北朝鮮)に生まれる。十三歳で敗戦を迎え、「三十八度線」を歩いて超えて、福岡県朝倉郡甘木町(現在の朝倉市)に引揚げるが、その間に父と祖母を失う。当時の体験は小説『夢かたり』などに詳しい。旧制福岡県立朝倉中学校に転入後(四八年に学制改革で朝倉高等学校に)、硬式野球に熱中するも、海外文学から戦後日本文学までを濫読し「文学」に目覚める。高校卒業後、東京外国語大学ロシア語科を受験するも不合格。浪人時代は『外套』『鼻』などを耽読し「ゴーゴリ病」に罹った。五三年、早稲田大学第二文学部ロシア文学科に入学。五五年、小説「赤と黒の記憶」が第四回・全国学生小説コンクール入選作として「文藝」十一月号に掲載。五七年、福岡の兄の家に居候しながら図書館で『ドフトエフスキー全集』などを読み漁る。五八年、学生時代の先輩の紹介で博報堂に入社。自信作だった「ドストエフスキーではありません。トリスウィスキーです」という…
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渡邊利道