内容説明
歌人・瀬戸夏子の真摯で豊饒な言葉は今日も世界と交差してゆく。その目を見張る多彩なテクストの数々をここに集積する。
目次
1 エッセイ(ジ・アナトミー・オブ・オブ・デニーズ;音たてて銀貨こぼれるごとく見ゆつぎつぎ水からあがる人たち/小島なお ほか)
2 評論(穂村弘という短歌史;私は見えない私はいない/美しい日本の(助詞の)ゆがみ(をこえて) ほか)
3 インタビュー、ブックガイド、日記(瀬戸夏子ロングインタビュー;瀬戸夏子をつくった10冊 ほか)
4 歌壇時評(このまずしいところから、遅れてやってきて;「死ね、オフィーリア、死ね」 ほか)
5 作品(満月まで十五秒の階段にて;約束したばかりの第一歌集と星と菫のために ほか)
著者等紹介
瀬戸夏子[セトナツコ]
1985年生まれ。2005年の春より作歌を始め、同年夏、早稲田短歌会に入会。その後2009年の創刊から2011年の解散まで同人誌「町」に参加し、現在「率」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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匙
18
この人のフィクション作品はあまり分からないし好みとは違うんだけど、日記や評論のエネルギーが非常に刺激になる。実現不可能な信頼の深さと他者への苛烈な期待、比例する(自他不可分な)甘えへの厳しさ、それらを強靭な知性と努力と欲望で鞭打ち作品を刻んでいく、そういう人物イメージを持った。弱さを晒す日記が好き、自分には到底できないということを書いていたけど、この本の編集はそういった日記の魅力を充分に生み出している。2024/06/09
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10
図書館で短歌誌のバックナンバーを漁ったり後追いで同人誌を集めたりして読んだ文章が1冊の本にまとまったことに喜びつつも(なにしろ1年待った)、同時に、読みたくても読めないものがある、という状態も(読んでみたらがっかりした、ということではぜんぜんなく)、それはそれで幸福なことだったのかもしれない、と少し思い、そういう風に思わせる書き手はきっと稀有。2019/03/22
ろび
9
歌人、瀬戸夏子が大学時代から最近まで書き綴ったものをまとめたノートのような書籍。個人書店で題名が気になり購入した。「それにしてもたくさんのものを失った、と思う。さっきも実感した。だけど無くなってしまうものなんて、最初から、そんなもの、必要だったのか?不思議だ。」今の私には一番印象的な文章だった。2019/05/19
kentaro mori
3
待望の集成。父(=穂村弘)殺しの記録。しかし、それは未だ達成されていない。2019/03/30
午後
2
誠実さ。2019/10/08