出版社内容情報
詩人・中尾太一の新たな展開を示す待望の新詩集。詩人・中尾太一の新たな展開を示す待望の新詩集。鳥の絵の大きな叛旗をかざして詩は自由の地へ行く、中尾太一のあふれるエレジーその未踏のカナシミを大声で歌え!「かつて/世界概観バイシクルの車輪が回ると風が吹いていた、太陽の光を少しだけ信じていた虹の青は銀やんまの銀に溶け/突出したさいのうを風の中に送った、二、三、四人、の壊れたペダリングにうきうきした日から、詩がずっと若いよ」(「ちからのオリジン、二〇〇七」より)
二〇一七年のモスキート
ちからのオリジン、二〇〇七
ヒカリの列車
二秒詩のころ
Qターンワルツ
ノヴィ
ア・カンパニオン
アトム
ふたりのあやとり
いつも同じ月の下で
ジャッカーたちの、それぞれの夜明け
ヤゴの詩
ワッショイ、ワッショイ
さきがけの葉
カーディガンと栗鼠のうた
ピロハリのごちそうの時間
スニフが抱いたねこのうた
ナウシカアの花の色
君だった
文机で眠るぽんきちへ
中尾太一[ナカオタイチ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スミス市松
10
『a note of faith』の韻律を引き継ぎつつ、抒情による創痍から生じる静けさが全篇を覆う。前作が烈しい感情の光眩い反映の連続だとすれば、本作は過ぎ去った感情の残響の連続、即ちこの変奏は必然といえる。だが、このような局面に至りなおロマン的な言葉を(「世界」「時代」「愛」「詩」「永遠」を「きみ」へ)捧ぐ絶対抒情主体であり続けること、それは「骨と肉を削り笑うようにおかしくなる直喩を直球に見立てて、ただ探す打者の像を、人への信頼と取り違えても書いていく」この詩人の勇敢な立姿として私の心にはっきりと映る。2018/08/31
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7
第三詩集からまた雰囲気が変わって、随分穏やかになった印象。「カーディガンと栗鼠のうた」に泣きそうになった。「ほころびやあなを繕うのではなく、その上にもう一枚コートを着て冬の街に出て行く/ユリイカにきみの詩がのっているからひさしぶりのきみの詩を読みに行く」2018/05/17
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5
良いな、と思ったり、いやでも甘いだろう、と思ったりする。2019/04/23
0
書き方が随分変わっている(?)と思ったんだが、松本圭二にグッと近づいているのにびっくりした。ただ、中尾太一の場合はそういう影響関係を明け透けに自己開示してゆくのが(子供の名前が「アミ」だし)天然なのか、意識的なのか、まあ、後者であろう。ただ、単純に呼んでいてゲラゲラ笑えたのがいいと思う。そういう印象を前までは持っていなかったから。そういう意味でも、やっぱり「アストロノート」期の松本に近いんだよなあ、父親になったという契機がこの二人を近づけさせているのかもしれないけど。2021/12/05
ミスター
0
これは皮肉ではなく、詩を知っている人にはわかるのかもしれないが、ぼくはこの詩集に関してはよくわからなかった。ただのセンチメンタリズムでは。2019/06/29