感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニッポニア
48
ぽっかりとあいた穴を塞ぐために試行錯誤するが、何をやっても埋まらない、という時点で何かちょっと説教くさいなあ、と思うけれど、普遍的な教え、経典として読もう。以下メモ。うまいものを飲み食いすれば、きっとこの穴も塞がるだろう。どんなに褒められても、おれの穴は塞がらず、冷たい風が通っていくばかりだった。けれど、その風に、鼻歌だって乗せることができる。2024/08/10
ただぞぅ
11
心の穴はいくら必死になっても塞ぐことはできない。可愛いイラストで描れた穴あきドーナツ「おれ」が心の穴と向き合い認めていく物語。穴を埋めるべく遊び、恋愛、趣味など様々なことに挑戦している様子が何とも愛くるしい。そしていつしか穴を通り抜ける風が寂しいものではなく心地よい風に変わっていく。誰しも抱える心の穴。そんな穴をどう捉えるかを問う大人の絵本。2024/08/31
チサエ
11
KindleUnlimitedにて。自分にあいてる穴がどうしたら埋まるか。何をしても埋まらないその穴に、冷たい風が通る。寒い。でも気づく。みんなも穴があいてる。自分だけじゃない。それに気づいたとき、冷たかった風が、寒かった思いが、そんなに悪くないと感じる。自分だけじゃないのは、心強い事実。わたしも、あなたも、あのこも、みんな。冷たかった風が、寒かった思いが、気づけばむしろあたたかい。私も今、あたたかい。穴が埋まらなくても。2022/09/05
織川 希
4
★★★☆☆ 自分の穴を受け入れる本。本書は心にぽっかりと空いた穴を埋めようと奔走した結果、その穴自体を受け入れられるようになるまでの短い短いお話。自分にある穴を埋めるべきものと思ったものの、よく見れば誰も彼も自然のものにも、穴が空いていて、それは特別なことではないのだと。ドーナツのようなキャラクターを主人公にした、自分のような短い小説は、小学生の国語や道徳の教科書にあるような、とらえどころはないけれども何かを訴えてくれるような気がする。2024/08/04
ヒマワリ
4
私は、穴は果たしてネガティブなものなのか。と思った。ここでは悲しみや虚無などマイナスなイメージの喩えとされていて、それはそれで話は完結している。でもドーナツといえばみんな穴があいた形をイメージするし、中心が何も無く、穴があいてる存在がドーナツであるし、それで完成している。 たとえば穴が才能の欠如的な意味であったとしても、それはそれでその人のカタチだし、パズルのピースのような様々なカタチがある上で成り立つのが世界だと思う。上手くまとまらないけど、ドーナツくんは、穴を誇りに思って欲しいと思った。2023/02/09