目次
第1章 誕生 何かいいことないかな
第2章 ヒット曲 酒と泪と男と女
第3章 旅の日々 時代おくれ
第4章 家族 生きてりゃいいさ
第5章 別れ 旧友再会
第6章 再生 月の花まつり
最終章 永遠 百年たったら
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
1971(昭和46)年、兵庫県豊岡生れ。京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に「花祀り」団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
127
「酒と泪と男と女」や「時代おくれ」を聴いていると、河島英五は人生の辛酸をなめ尽くした老成者のイメージしかない。家族や親兄弟に迷惑をかけて、飲酒と貧乏と暴力に明け暮れたと言われたら信じてしまいそうだ。なのにこれらの曲は20代後半から30代前半に発表され、高校時代からの彼女と結婚して3人の子に恵まれ、旅と音楽のただ中で人間とは何かを思索し続けた。人の心を見つめ続けた数々の歌を残して48歳で早世した歌い手は、ほとんど奇蹟的な存在だった。哲学者の高邁深遠な思想よりも、河島の短い曲にこそ人とは何かが凝縮されている。2025/06/05
あられ
13
「酒と泪と男と女」が河島英五だと知っていたが。。。聞いたことがある歌が何曲も出ていて、聞きたいと思った。あのねのね、鶴瓶、南光らとの関わりを知り、興味深い。やんちゃなイメージだったけど、家族思いの一面がわかったこともよかった。2001年4月16日、享年48。そんなに若くして亡くなっていたなんて。。。悲しい。。。だが、歌は聞ける、これからも聞ける。歌を残してくれて、ありがとう、少しずつでも聞いていきたい。2025/05/03
ハマノトラ
4
河島英五を知ったのは50年前笑福亭鶴瓶の深夜ラジオと記憶している。すぐにホモ・サピエンスの『人類』を買い求めた。「何かいいことないかな」「てんびんばかり」に衝撃を受けたもんだ「酒と泪と…」も収録されていたが、後にショーケンやジュリーがカバーしたことで英五が世に認知されるようになった。ライブに通う熱烈なファンではなかったが自身が年齢を重ねる都度々々、英五の楽曲に触れていた気がする。2025/06/11
茶幸才斎
4
酒はさほど好まず、むしろ甘党だった。勉強はできたが、嘘臭さを感じた。中学3年のとき、初めて歌を作った。自分を知らない人の中に飛び込み、自分の歌を聴かせたかった。やがて有名になり、結婚して子どもができたが、多くの時間を国内外への旅に費やし、声が掛かればどこへでも行って歌った。溢れ出る言葉を書き留めたノートは10数冊になる。彼の残したノートやインタビュー記事、また彼の家族や交友のあった原田伸郎、笑福亭鶴瓶、桂南光らへの取材から、河島英五の素顔のいかにもな部分と意外にもな部分とを綴った、歌と泪と男と家族愛の本。2025/06/02
Mitsuhito Shiraha
4
生きてりゃいいさ、と万人を励ます歌をつくった本人は短命であった。生きたかったのは自明で、最期までライブを全うしようと身悶えるようにこの世に声と残像を遺そうとした日々が綴られている。 日記のような歌詞は偽りがなく、嘘をつかずに生きる事の難しさに喘ぐ万人の心を揺さぶる。鉛筆書きで綴られる歌詞の画像がそれを物語っていて、思わず指でなぞりながら読んでしまった。2025/04/27