内容説明
初セリでズワイガニ1枚に、なんと200万円の値が付いた!「冬の味覚」として深く愛されてきたズワイガニ。巨大な赤いカニでお馴染みの「かに道楽」、料理人や漁師の創意工夫、カニを産地へ食べに行く「カニツーリズム」…ズワイガニをめぐって繰り広げられる日本人の物語を多角的な視点から描いた待望の書。
目次
序 ズワイガニとは?
第1章 カニを都市に持ち込んだ人
第2章 カニツーリズム誕生とカニの流通
第3章 カニ産地を行く
第4章 ズワイガニの日本史
第5章 カニという道楽を守るために
著者等紹介
広尾克子[ヒロオカツコ]
1949年大阪府生。関西学院大学大学院社会学研究科研究員。1971年神戸大学文学部卒業後、(株)日本旅行入社。2000年退職まで主に海外旅行企画部門に従事。2013年関西学院大学大学院社会学研究科入学。同科博士後期課程を単位取得退学後(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
92
サブタイトルはズワイガニと日本人の物語。冬といえばカニ、カニといえばズワイガニ、そのズワイガニがどのように加工されてきたか、それをどのようにして関東や関西に出荷してきたのか、カニと旅の関係、カニ店のことなどが書かれている。山陰で穫れば松葉ガニ、福井で穫れば越前ガニ。どれもズワイガニ、しかし漁獲量の減少とブランド化でとても高い。地元に住んでいてもオスのカニなど食べたことがないし値段の安い雌ガニ(せいこ蟹)のほうがずっと美味しくて好きだ。殻の中のみそは絶品。作家開高健氏はとても好きだったことも書かれている。2019/12/22
ようはん
20
日本におけるズワイガニの食文化史。戦後間もない頃まで日本海沿岸の地元で細々と食べられていたズワイガニが一気にメジャーになったのは大阪の有名なかに道楽がかにすきを導入してヒットさせた事や北陸・山陰の日本海沿岸の民宿や温泉がズワイガニで観光客の導入を図ったりは中々面白い内容で個人的には越前町の旅館を訪れた開高健が食べた蟹飯がルーツの「開高丼」が1番食べてみたいと思った。しかし最後に取り上げられている現在のズワイガニ漁の問題点の数々、特にズワイガニの近年における資源量の急激な低下は暗澹とした気持ちにさせられる。2020/10/08
パトラッシュ
12
大阪在勤の頃、阪神タイガースへの熱狂と目の色を変えてカニにかぶりつく関西人の心情が理解できなかった。旅行代理店の店頭で見たカニ食い旅行のパンフレットには呆れたが、当時なぜこれほどカニを偏愛するのかと抱いた疑問を解き明かしてくれる本に初めて出合った。カニ漁師だけでなく仲買人や料理店、消費者に駅弁、経済統計に至るまで様々な視点からカニと日本人の関係を探り、戦後の歴史と重なって日本人の生活に「カニを食べること」が浸透していくプロセスを描き出すさまは実に面白い。食の歴史は民衆史そのものであると再認識させてくれる。2019/11/25
niz001
10
積読から回収。ズワイガニ限定の食文化発展誌。カニ料理の歴史の浅さとその歴史におけるかに道楽の存在の大きさに驚く。個人的には柴山のカニが最強。2020/10/04
クサバナリスト
8
わずか50年ほど前まではカニは高級品でなかったことに驚いた。カニ道楽のカニすき開発の経緯、山口県宇部市の株式会社ヤナギヤがカニカマ機械の約70%のシェアがあるなど面白い話もあった。 これから、水産資源としてのカニをどうしても扱うか、カニ漁師の後継者等多くの課題に直面している。2020/01/22