感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
7
ギトリの映画と演技が好きになりまくってきたので。本書で強く焼き付いた情報は、ギトリが映画を意識的に軽視しており、そもそもは敵視していたこと。彼にとっては演劇が至上であり、映画つくりの際も、単に演劇の再現に終始する側面があった。にもかかわらず、映画としてめちゃ面白いと感じるのがギトリの不思議さ。偉大な俳優である父、リュシアンの反復として、人生=演技を繰り返してきたサッシャ。その反復は、演劇の革新やアヴァンギャルドを一切無視したかたちで進行した。アルトーのようには語られない存在であるのも、面白いと思う。2024/03/29