内容説明
あのころ、未来は遠くて、形さえなかった。夢はまだ曖昧で、名前すらなかった。わたしはいつもひとりで、長い道を歩いていた。風が吹くと、まるで自分が落ち葉になったような気がした。空を見上げながら、思った。「この世界のどこかに、わたしのことを見つけてくれる人がいるの？」そう、星の光が、ずっと遠い別の星まで届くみたいに…やっと、あなたが現れて、そして、消えていった。わたしたちは青春の入り口で出会って、でも、それきり離ればなれになった…
著者等紹介
リャオ，ジミー［リャオ，ジミー］
幾米。１９５８年、台湾宜蘭出身の絵本作家。１９９８年に白血病を患ったことをきっかけに、絵本の創作を始める。１９９９年に刊行された『君のいる場所』が大ベストセラーとなり、台湾で大人の絵本ブームを巻き起こした。これまでに５０を超える作品を発表し、１５カ国以上で翻訳出版されている
天野健太郎［アマノケンタロウ］
１９７１年、愛知県三河生まれ。京都府立大学文学部国中文専攻卒業。２０００年より国立台湾師範大学国語中心などへ留学。帰国後、台湾専門翻訳・通訳、聞文堂ｌｌｃ代表。台湾書籍を日本語で紹介するサイト「もっと台湾」主宰（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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やすらぎ🍀
168
わたしは籠の中の小鳥。自由なようで不自由なここから一心に飛んでいきたいと思っているはずなのに、この扉から踏み出すことができない。誰だって言葉にできない孤独を感じているみたい。深い山奥で何日も昼と夜を繰り返しているみたい。あなたはなぜ空を見上げているの。どうして雨の日に微笑んでいられるの。少しずつ消えていく霧の先には何があるの。この扉を開けてみたらどうなるの。水面から星空をずっと見上げていれば、きっと今までより遠くの星を知ることができるって。星が消える瞬間の輝きはずっと消えることがないって、本当だったんだ。2023/01/07
アキ
91
台湾の絵本作家ジミー・リャオ。翻訳・天野健太郎。両親はいるけど孤独でたまらない女の子。転校生でいつもひとりでいる男の子。いじめを助けて、ふたりは仲良くなった。夏のある日ふたりは一緒に街を出た。亡くなったおじいちゃんの家から、夜によく連れて行ってもらった湖へ小舟を出して、星空を眺めた。休みがあけると彼は転校していて、その後も彼に会うことはなかった。あの夏の夜、あれ程まぶしくて、あれ程孤独な星空を見ることはこれからもないだろう。あの星空を忘れない。彼女の部屋の壁には、ゴッホの星月夜が掛かっていました。2022/01/22
aquamarine
79
実写化もされた、台湾で人気の絵本作家さんの本です。絵本と言っても漢字にルビもありませんしある程度の年齢の子供や大人向けですね。少女と少年それぞれの事情による孤独と葛藤。生活の一コマ一コマから伝わってくる哀愁が、二人で行動する部分ではガラッと変わってキラキラと輝いて見えてきます。ラストの少年の部屋から伝わってくるものは大きいです。読後、最初に戻っていろいろなものが表す意味をあらためて感じとり、イラストの美しさを堪能しました。2018/01/22
mint-s
57
クリスマスに綺麗な絵本が読みたいなと思って借りていた一冊。家でも学校でも孤独を感じていた女の子と転校してきた男の子。ある日、二人は女の子が幼い頃に暮らしていた山で美しい星空を見る。少し寂しくてクリスマス向けではないかも知れませんがとても綺麗な絵本でした。メリークリスマス🎄2020/12/24
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
49
「顔をあげて、星空を見上げれば、世界はもっと大きく、大きくなる……」という冒頭の言葉にひかれて手にとった１冊。本書は、孤独な少女と孤独な少年が出会うことで生まれた奇跡の物語。心に染み入る詩のような文章は胸に響く。絵は緻密でありながらも優しさがあふれ、心の奥底に眠っていたものが呼び覚まされる。星空を見上げてみたくなる。図書館の絵本コーナーにあったが、大人向けの絵本ではないだろうか。手元においておきたくなった。2020/03/03
