内容説明
美大受験生たちの血と汗と涙の結晶「石膏デッサン」とは何だったのか?石膏像を巡る苦闘の歴史がわかる、石膏デッサン研究の決定版!!
目次
1章 パジャント胸像とは何者なのか
2章 美の規範としての石膏像
3章 工部美術学校と東京美術学校の石膏像収集
4章 芸術の本質としてのデッサン
5章 反・石膏デッサン言説
6章 美術予備校の石膏デッサン
著者等紹介
荒木慎也[アラキシンヤ]
1977年名古屋生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。2013年に博士(学術)。東京大学教養学部国際ジャーナリズム寄付講座特任助教を経て、成城大学、多摩美術大学、武蔵大学非常勤講師。専門は近現代美術史、美術教育学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
6
図書館にて。著者の修論は東京藝術大学と美大向け予備校の関係を論じたもの。博論は異なるテーマを選んだが、途中で「石膏デッサン」を巡る話題に転換したのが本書▲石膏像…新古典主義に基づくもの。古代ギリシャの彫刻像を美の規範とするために参考として作られた複製品。ゆえに石膏デッサンとは複写により規範を会得するのが本来的なもの/しかし、天才による創造(クリエイション)が重視されるようになり、新古典主義が下火になってゆく/日本の「石膏デッサン」受容についても多く頁が用いられている。続2019/10/31
ひじき
1
美大受験生といったら石膏デッサン、だと思ってたんだけど、すでに自分が生まれた頃には必ず入試に出るわけでもなかったらしい。ぜんぜん知らなかった。でもそれほど結び付きが強いイメージがあるということでもあり、この本でも美大(主に芸大)を中心に石膏デッサンがどのように位置付けられ、どのように対策され、どのように嫌われたり和解したりしたのか…ということが書かれていて、それは西洋からきた美術(とその教育)を日本でやるならどうあるべきか、という時代ごとの考え方を反映していてとても面白い。2019/09/25
onnonn
1
よく見る石膏像にも経緯があるのだろう、ということはなんとなく思っていたことだけど、こういう思いのほか深い歴史があったとは思わなかったので、終始興味深く読んだ。最終的に、美術教育の一側面をも作り上げるに至ったそれらの紆余曲折っぷりは、そのまま日本における美術の捻れにも直結していて驚く。ドグマというのか、人の思い込みってなかなか怖い。 どうでもいいけど、パシャントのルーツを求めるドキュメンタリーができそうだし、ちょっと見てみたいなぁ2018/04/08
tkm66
0
涙と老眼でスマホ液晶が読めない・近代日本美術の文化人類学的視点。アカデミーでは【グズと白痴のアマレス】くらいの扱いかと。2018/03/21