内容説明
「新民会」による青年動員の全体像を明らかにする!中華民国臨時政府(華北政務委員会)統治下で政権擁護のための民衆運動を担った新民会(中華民国新民会)に動員された当時の「普通の青年たち」の実態に多くの新資料を駆使して迫る。従来の傀儡政権史像では見えなかった日本占領下の社会の姿、戦時体制下の中国社会の全体像を捉えようとする意欲的な論考。
目次
プロローグ
第1章 新民会概説
第2章 新民会の青年訓練所と青年団
第3章 新民会の青年動員と共産党、国民党
第4章 青年動員の実態、青年たちの声
第5章 欧米キリスト教会と新民会の相克
第6章 新民会の青年動員と教育、社会の近代化をめぐる問題
第7章 新民会の女性の動員
エピローグ
著者等紹介
菊地俊介[キクチシュンスケ]
1984年京都府生まれ。2009年4月立命館大学大学院文学研究科人文学専攻博士課程後期課程入学。2010年9月~2012年6月中国南開大学歴史学院高級進修生。2016年3月立命館大学大学院文学研究科人文学専攻博士課程後期課程修了、博士(文学)。2017年9月~2019年12月中国南開大学歴史学院博士後研究人員。2016年4月~現在、立命館大学BKC社系研究機構客員研究員、愛知大学国際問題研究所客員研究員。専攻は中国近現代史・近現代日中関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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晴天
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占領地区における青年動員はもちろん占領者の統治のためでしかなく、占領地の住民を賢しくせずそれでいて占領者に依存するよう思想教育をするという傲慢なものであった。それでもそこに参加した(参加せざるを得なかった)青年たちには、就職のため、人脈を利用するためなど様々な動機があり、青年読物を自分なりの主張の場としたりするなど、その環境における「普通の青年」としての営みがあったことを描き出す。彼らは後に国民党や共産党に参加し地歩を築いた者もいるが、しかし「漢奸」として迫害された者もいたであろうことには嘆息する。2020/08/20