内容説明
世界初の黒人奴隷が建国した国家ハイチの独立(1804年独立宣言)に先駆的な役割を果たした“黒いナポレオン”トゥサン・ルヴェルチュールの生涯を丁寧にたどる本格評伝。とくに今まで研究されなかった前半生を粘り強い調査で明らかにした貴重な書。
目次
理解が困難なものを理解するために
ヒョウの息子
「私は奴隷だった、隠すことはない」
“ファトラ・バトン”
「奴隷制の重荷が取り除かれた」
“自由黒人”トゥサン・ブレダ
獲得した“いくつかの知識”
“高潔なバイヨン”に学んだこと
「私は大事業を行うために生まれた」
“国王軍の軍医”
「わが名はトゥサン・ルヴェルチュール」
“草原のケンタウロス”から“黒人の筆頭者”へ
“サン=ドマングの終身総督”
“自由の木の幹”
“先駆者”の遺産
著者等紹介
ドナディウー,ジャン=ルイ[ドナディウー,ジャンルイ] [Donnadieu,Jean‐Louis]
1961年生まれ。歴史家。専門はカリブ海地域のフランス植民地史。歴史学博士、高等教員資格(歴史)所持者。現在、トゥールーズのオゼンヌ高校教員
大嶋厚[オオシマアツシ]
1955年東京生まれ。翻訳者。上智大学大学院博士前期課程修了。国際交流基金に勤務し、パリ日本文化会館設立などに携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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活字の旅遊人
39
先頃、大統領が暗殺された国。地震やハリケーンの被害が深刻な国。今回の東京オリンピックには、選手が来ていたかな? その位の認識でしかないハイチ。1804年、フランスから黒人奴隷が独立を宣言した、先進的国家だ。その宣言時には亡くなっていたが、こうした動きの礎とされるトゥサン・ルヴェルチュールの評伝。現代的視点では、決して理想的なヒーローではないと思うが、かような歴史を経て今があることは認識しておきたい。それでもやはり、白人帝国主義は変わってないけどね。馴染みが薄く、読了までに時間を要したが、読めてよかった。2021/08/09
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