内容説明
軍は兵士の「性欲」と「性病」に対してどのように対応していたのか?実態を明らかにする第一級資料!軍が講じた様々な性病(花柳病)予防策としての各種規定を掲載、解説。慰安所設置までの流れを明らかにするとともに、慰安所、戦地の実態を活写した貴重な写真、世相を反映した各種性病予防具の広告、軍需品として進化したコンドームの歴史も掲載。現存する軍支給の予防具現物など幅広い資料からタブーに斬り込む問題提起の書。
目次
第1部 平時の陸軍と性病(平時の遊郭と花柳病;陸軍の花柳病の定義;平時における陸軍の花柳病予防法;陸軍の花柳病治療法)
第2部 戦時の陸軍と慰安所(戦時の慰安所と設置の法的根拠;慰安所の設置;慰安所の設置例;戦時における陸軍の花柳病予防法)
附章 コンドームの歴史
著者等紹介
藤田昌雄[フジタマサオ]
軍事法規研究会顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
32
よくぞここまで資料を集め整理したなあ、と。最初友人宅で手にとったときは(だから慰安所は必要なんだ)みたいな流れだったら嫌だなと思ったんですが、読み進めるうちにこのデータの影にいる女性たちの存在が胸の中を埋め始め、辛くなりました。生き残るために行う行為が、やがて心身を蝕む。どんなに予防措置が増えようと、この需要と供給は様々な形で続いているという事実が女性として辛いです。2018/08/06
かおりんご
30
読み友さんの感想で気になり、読みました。とても真面目な本です。慰安婦も兵站の一部、酒保の一部であったんですね。さらさらと読んだだけなので、100%は理解できていませんが、興味深かったです。写真に残っている将兵や慰安婦を見ていると、色々考えてしまいます。笑顔の裏には、どんな思いがあったのやら。2020/03/08
うちこ
6
統計情報や規律既定の記録、新聞雑誌広告、写真から慰安所の様子がわかります。花柳病という言葉すら知らなかったわたしは、公娼制は性病対策から生まれたことをはじめて知りました。 慰安施設が「野戦酒保」という日用品の売店の延長で設置されたこともはじめて知りました。昭和12年の野戦酒保規定からそれを読み取ることができます。 施設を利用しなかった軍人の比率は探りようがなく「祖父は陸軍の軍人だった」という人がこの本を見たら、写真に写る慰安婦たちのあどけなさに微妙な気持ちになることは避けられないんじゃないかと思います。2020/08/23
かみいゆ
5
花柳病と呼ばれる三大性病と軍國であった日本との付き合い方がわかる一冊。資料本として値打ちがある情報量でした。当時の記載のままの記述は少々読みにくかったが逆に生々しさもある。慰安所と遊廓が根本的にまったく違うのもよくわかった。2020/02/27
tkm66
5
忘れられがちな〈兵站〉と云う現実が淡々とした文章+資料で綴られて、より一層生々しく興味深い。2017/03/09