内容説明
軍歌こそ“愛国ビジネス”の原型である!アサヒ蓄音器商会を中心とした、戦前軍歌のレーベル写真と詳細な解説。異色の軍歌・レコード研究本!
目次
アサヒ蓄音器商会の歴史(若き財閥当主の新事業;ツル、名古屋に羽搏く;商機としての戦争「大名古屋軍歌」の時代;千変万化のアサヒ蓄音機商会;アサヒ、再び昇らず)
レコード解説(ツルレコード;アサヒレコード(センターレコードを含む))
付録・同時代の他社レコード(ポリドール「肉弾三勇士の歌」「満洲国国歌」;コロムビア「露営の歌」「支那事変一周年に際して」「父よあなたは強かった」「兵隊さんよありがたう」「愛馬花嫁」;ビクター「満州前衛の歌」「満洲行進曲」「愛国行進曲」「日の丸行進曲」「大陸行進曲」「太平洋行進曲」「万歳ヒットラー・ユウゲント」;テイチク「軍国の母」「紀元二千六百年」;キング「出征兵士を送る歌」「進め一億火の玉だ」;タイヘイ「建国満蒙の黎明」)
著者等紹介
辻田真佐憲[ツジタマサノリ]
1984年、大阪府生まれ。文筆家・プロパガンダ研究者。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院文学研究科修士課程中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
北本 亜嵐
13
戦前、名古屋市東区にあった「アサヒ蓄音器商会」は中京圏唯一のレコード会社。 しかしながら、「愛知県史」や「名古屋市史」にその存在は掲載されていない。当時の大企業(レコード会社)を向こうに回し、時事に便乗・パクリや替え歌何でもありとその商売根性にはただ脱帽。楽しい本でした。2015/07/28
まさむね
5
名古屋にあった「アサヒ蓄音機商会」が発表していた軍歌レコードを、その歌詞とともにカタログ形式で紹介した本。同じ著者の『日本の軍歌』『ふしぎな君が代』やタマフルの軍歌特集に触れてきたので、本書も楽しく読んだ。愛国的な空気は民間から発信されることを、この歴史が証明しているわけで、最近の時局を考えると、歴史は繰り返すのかも知れないという恐ろしさも感じる。2015/09/04
保山ひャン
3
名古屋のアサヒ蓄音器商会が時局に便乗して出していた「ツルレコード」「アサヒレコード」「センターレコード」を聞き取りの歌詞と共に解説。1930年代の満州事変、上海事変、リットン調査団、五・一五事件、日中戦争にあわせて粗製濫造された愛国ビジネスの姿をあらわにする。これがまあ、笑えるのだ。本書では「愛国ポルノ」という言葉まで出てきた。現代の今の情況とオーバーラップできてしまうのが、なんともうすら寒い思いがする。2016/07/28
紅独歩
3
戦争の記憶の風化が叫ばれる昨今だが、悲惨な体験だけではなく、こうした「隠そうとして隠した記憶」は更に忘れ去られていくだろう。非常に貴重な史料であるとともに、現在も息づく愛国ビジネスについて考える切っ掛けともなる好著。2015/06/06
T-山岡
1
戦前の名古屋のレコード会社「アサヒ蓄音機商会」のレーベル(ツルレコード、アサヒレコード等)の作品を中心とした軍歌や戦時歌謡を、レコード写真と歌詞付き(一部は歌詞カードがないため著者の聴き取りによる)で紹介。リットン調査団、肉弾三勇士などの時局ネタを次々と打ち出していった点はさすが商魂たくましいといったところだが、以前の曲の焼き直しだったり他社のパクリ曲だったりと、質が着いていっていなかったのが実体らしい。政府側による押しつけではなく民間の側から、戦時の盛り上がりを演出し(ようとし)た一例と言えるだろう。2023/12/16
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