内容説明
昔話や口承文芸学の第一人者・野村純一が“都市伝説”研究の先駆けとなった「口裂け女」や「ニャンバーガー」、昔話に登場する鬼や幽霊、さらに民俗とのかかわりの深い東京・本所や新潟の「七不思議」、近世の巡礼僧「六部殺し」など、豊富な怪異伝承の実例を列挙して論じた文章をまとめる。
目次
「怪異伝承論」の周辺
口裂け女の誘い
“野村語録”から見た野村学
野村純一「論考・エッセイ」(怪異伝承と都市伝説;怪異を語る昔話;怪異伝承と民俗)
父・野村純一
著者等紹介
大島廣志[オオシマヒロシ]
1948年東京生まれ。國學院大學で野村純一の指導を受け、口承文芸学を学び、全国各地の昔話を記録する。近代における外国昔話の受容と展開、現代伝説の分析等についての論文がある。國學院大學兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
46
著者の論考群の中から、怪異を論じたものを集めた一冊。都市伝説から昔話とその内容は非常に幅広いが、興味のある分野のものばかりなのでどれも興味深く読める。興味を惹かれたのはやはり都市伝説の部分であり、口裂け女を昔話との共通点で読み解いていく部分などはスリリングでさえある。他にも「こんな晩」の様々なパターンを集めたものや、「子育て幽霊」と母子分離埋葬、これは先ほど別な論考を読んだばかりだけどこちらはハナシを通じてという別な視点、百物語等、どれも怪異に興味を抱く人なら読まずにはいられないようなものばかりであった。2016/07/30
ノサル・ギャラガー
3
誰もが聞いたことのある件(くだん)や口裂け女といった怪談、都市伝説の論考がまとめられている。このジャンルの研究ってどのくらい進んでいるのだろうか? ちなみに、誰もが聞いたことのある「山小屋の4人の話」、原型は明治時代にあるらしいです。著者の資料蒐集にかける情熱に脱帽。2020/05/16
らむだ
2
口承文芸学の碩学、野村純一の怪異伝承にまつわる論考・エッセイ集。幅広い内容を各地で集められた実例とともに示している。 ※隅の婆様 口裂け女 都市伝説 一眼一脚神 女房の首 昔話と鬼 七不思議 こんな晩 子育て幽霊 百物語2022/06/10