内容説明
関東大震災直後に『死刑宣告』(1925)で世界を驚倒させたアヴァンギャルド/アナキズム詩人、萩原恭次郎(1899‐1938)。分裂する革命運動の「絶滅の状態」で書かれた、思想と感性がむき出しになった兇器のような断片群が、腐臭ただよう現代に蘇生する。いまでは稀覯本となった1931年刊行の元版に、詩や散文40余篇を追加。『全集』未収録作品のほか、萩原朔太郎による批評や略年譜などを収録。
目次
断片
自己への断片 詩文集(TOBACCOの袋に書いて山本勘助に送る詩;赤と黒;肺臓に刷られたるビラ三枚;君にも君にも君にも/君にも君にも君にも ほか)
附録
著者等紹介
萩原恭次郎[ハギワラキョウジロウ]
1899年、現在の前橋市日輪寺町に生まれ、1938年、同石倉町に没する。詩人、アナキスト。1923年、壺井繁治、岡本潤、川崎長太郎と雑誌『赤と黒』を創刊、前衛的な作品で文壇に衝撃を与える。アナキズムを文学運動の中心的存在として活躍し、『文藝解放』『黒旗は進む』『学校』などに寄稿。1932年、個人誌『クロポトキンを中心とした芸術の研究』創刊。以後、次第に農本主義に傾いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チェアー
9
静かな黒いアジテーションのような詩。 味方さえも信じられなくて、唯一信じられるのは死んだ人だけ。 そんな彼が、なぜ農本主義者になっていったのか。 心の流れはどう一貫していたのだろう。2020/07/13
うさぎや
6
第2詩集「断片」全内容および、同時期に発表された詩・散文を併録。「断片」がクローズアップされるのはなかなか珍しいなあと。表現方法は変われども、そこに生活が「ある」のは変わっていない。2020/01/25
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4
「言葉は最大な言葉を持っても言葉自身は死だ。言葉はどんな幼稚でもリズムは仮面をかぶることは出来ない。リズムは最も純に正直に彼我に通じ合ふものだ。反逆! 小さな合理化によつて固まらうとする者に対する破壊!」(136頁)2020/05/10
kentaro mori
3
しびれた。アナーキストのじめじめした感じがなく、清々しさを感じる。⚫️俺達は火薬よりも明るく弾丸よりも明確でありたいのだ。2020/03/29
白米
2
装幀が美しい。ダダキズムと言うより、プロレタリア文学という感じ。『死刑宣告』の尖りまくった感じの方が好き。2020/01/06