境界の文学
鏡のなかのボードレール

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  • サイズ B6判/ページ数 212p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784907986209
  • NDC分類 951
  • Cコード C0098

出版社内容情報

現代詩の始祖にして19世紀最大の詩人、シャルル・ボードレール。その恋人ジャンヌは、カリブ海出身で白人と黒人の混血女性でした。著者のくぼたのぞみさんは、詩人がかの女に捧げた「ジャンヌ・デュヴァル詩篇」を中心に語り、それらを訳し直しながら、さらにノーベル賞作家クッツェー『恥辱』へと、その思索を開いてゆきます??まるで割れた鏡の断片に、ふたりの姿が映し出されるように。それらの詩篇は、本邦初の女性訳『悪の華』ともなっています。

また、かの女を主人公にしたアンジェラ・カーター(Angela Carter)の傑作短篇「ブラック・ヴィーナス」(Black Venus)も新訳で収録。ボードレールを《世界文学》として読みかえるための、とても贅沢な1冊になりました。 

新シリーズ[境界の文学]第1弾。

01、コンスタンシアの葡萄酒より

02、エキゾチックな香り

03、髪と猫

04、日本語とジャンヌへの眼差し

05、鏡、あるいはジャンヌの瞳

06、鏡のなかのボードレール

07、ボードレールと日本

08、『悪の華』と翻訳──詩と抒情詩の違い

09、J・M・クッツェーのたくらみ、他者という眼差し

10、ボードレールになってみる



附録、ブラック・ヴィーナス by アンジェラ・カーター



あとがき

くぼた のぞみ[クボタ ノゾミ]
1950年、北海道新十津川生まれ。翻訳家、詩人。東京外国語大学フランス語科卒。
おもな著書に、詩集『記憶のゆきを踏んで』(水牛/インスクリプト、2014)、『愛のスクラップブック』(ミッドナイト・プレス、1992)、『山羊にひかれて』(書肆山田、1984)、『風のなかの記憶』(自家版、1981)など。
おもな訳書に、J・M・クッツェー『マイケル・K』(岩波文庫、2015)、同『サマータイム、青年時代、少年時代──辺境からの三つの〈自伝〉』(インスクリプト、2014)、ポール・オースター& J・M・クッツェー『ヒア・アンド・ナウ 往復書簡集2008-2011』(共訳、岩波書店、2014)など多数。

目次

コンスタンシアの葡萄酒より
エキゾチックな香り
髪と猫
日本語とジャンヌへの眼差し
鏡、あるいはジャンヌの瞳
鏡のなかのボードレール
ボードレールと日本
『悪の華』と翻訳―詩と抒情詩の違い
J.M.クッツェーのたくらみ、他者という眼差し
ボードレールになってみる
ブラック・ヴィーナス アンジェラ・カーター

著者等紹介

くぼたのぞみ[クボタノゾミ]
1950年、北海道新十津川生まれ。翻訳家、詩人。東京外国語大学フランス語科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かふ

20
ボードレール『悪の華』に描かれたジャンヌ・デュヴァルという娼婦は、奴隷の子孫であったようで、19c のフランスによる植民化というジャンヌ・デュヴァルの出自。そんな彼女をミューズ(女神)としたボードレールを読んでいくポスト・コロニアルの試み。クッツェーの翻訳者だけにクッツェーがボードレールや19cの浪漫派詩人が影響を受けたことへの作品の影響や、アンジェラ・カーター『ブラック・ヴィーナス』によるジャンヌの瞳に映る鏡としてのボードレールを読む試み。最後に『ブラック・ヴィーナス』の翻訳付き。2024/08/31

かもめ通信

19
何年も前に購入し、ひと通り目を通した後もずっと手元に置いて、ふと思いついたときや、関連がありそうな本を読んだときなどにページをめくる。私はこれで、ひとり出版社「共和国」に惚れましたと言い切っていいと思うお気に入りの本。「なにを読むか」とともに「どう読むか」が問われ、読んだ後もそこに留まらず、どう広げ、どう掘り下げていくのかが問われる、読書というものの奥深さを改めて感じさせる1冊だ。 2024/12/01

rinakko

8
ボードレールからクッツェーまで…という旅の記録。とてもよかった。ボードレールの生涯の愛人、詩人のミューズでもあり、ジャンヌ・デュヴァル詩篇の中にそのエキゾチックな姿をあらわすムラータの女性について、そして肌の黒い女性としてヨーロッパで見せ物にされたサラ・バートマンについて。更に、日本男性の性的嗜好(白人女性への畏怖と植民地の有色女性への蔑視)と、それを支えたのは日本女性の意識…という構図へと考察は繋がっていく。クッツェー『恥辱』をとり上げた章では、ムスリムの女性ソラヤの眼差しの意味が解かれていく。2019/02/27

belier

3
J・M・クッツェーの生地で飲んだワインをきっかけに古い記憶がよみがえり、著者が過去に関心の対象としたボードレールの世界へ入り込む。現在の著者は主にアフリカ文学を専門とする翻訳家。そのとき飲んだワインは「フロート・コンスタンシア」でボードレールのアフリカ系の愛人ジャンヌ・デュヴァルと関係が深いものだった。エッセイはジャンヌ・デュヴァルとボードレール、フランスとアフリカそして日本を心地よい文体でさ迷い歩き、クッツェーにも立ち寄る。ボードレールの訳詩とデュヴァルを描いたアンジェラ・カーターの短編も楽しめる。2016/12/29

If...

2
みるものみられるもの2024/04/18

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