感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miki
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金閣寺と美に対する執着。美に相対したとき、私たちは知らずに自己を卑下する気持ちがあるけれど、主人公の美への執心は自己のコンプレックスからの反映であったと思う。女性と性行為とに対する主人公の葛藤も、美と結び付いていたのではないか。女性に美を見いだした初めての人が有為子だったから、いつまでも有為子の面影に捕われていたのかも。最後に金閣寺を燃やすと決意し、すべてに別れを告げ万事準備万端と息巻く姿は、ある禁忌を犯す殺人犯や放火魔にみられるような心理だと思った。読み返す度にまた違う考えを持つ作品。2011/11/10