内容説明
著者は債権国と債務国の争いや欧州中央銀行と各国銀行の役割、格差の拡大などといったユーロ地域が抱える問題を、要人の発言や世論を引用しながらその真相を明らかにしている。また、アメリカや、IMFとの関わり、ユーロ地域の混乱が与える影響、アジアとの関係など、グローバルな視点からも考察を行っており、本書の最終章で現状を打開するための諸政策を提案している。翻訳版では、日本語版序文として「日本と欧州の類似点」を新たに追加。現在のユーロ圏の状態が1990年代半ばの日本とよく似ていることから、今後ユーロ圏が「失われた20年」と同じ道を辿る可能性を指摘し、さらにアベノミクスがユーロ地域に与える影響も考慮に入れて、混迷を深めるユーロ地域の今後を検討している。
目次
不幸な家族
幻滅
ドイツ問題再論
勝者と敗者
危険な空白
取り返しのつかない誤り
技術官僚のつまずき
ECBは他の中央銀行とは違う
キプロスの騒動
主権―転換点
恐怖が鍵を握っている
ドイツの限界
フランスとの関係
ブンデスバンクの反撃
イタリアでは土壇場が連続している
銀行同盟の妄想
IMFにとっての欧州の難問
アングロ・サクソンの躊躇
アジアのスター台頭
戦争と平和
著者等紹介
マーシュ,デイヴィッド[マーシュ,デイヴィッド] [Marsh,David]
戦後の通貨問題に関する欧州随一の年代記作者。また、公的通貨・金融機関フォーラム(OMFIF)の共同創設者であり、議長を務めている。1978‐95年にファイナンシャル・タイムズ紙に勤務。その間に仏・独に駐在して欧州担当の編集主任を務めた後、シティの金融機関で仕事をしている
田村勝省[タムラカツヨシ]
1949年生まれ。東京外国語大学および東京都立大学卒業。旧東京銀行で調査部、ロンドン支店、ニューヨーク支店などを経て、関東学園大学教授、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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