内容説明
受験勉強に励んでいたアンヌは1966年6月のある日、新進気鋭の映画監督ジャン=リュック・ゴダールに手紙を送る。それが彼女の運命を変えてしまうとは、考えもせずに―。舞台は古き良きブルジョワ文化と若者の新しい文化がせめぎ合い、政治と芸術が混沌と共存していた時代。毛沢東思想の影響を受けていたゴダールは、アンヌを主役に『中国女』の撮影を始める。
著者等紹介
ヴィアゼムスキー,アンヌ[ヴィアゼムスキー,アンヌ] [Wiazemsky,Anne]
1947年生まれ。ロベール・ブレッソン『バルタザールどこへ行く』(1966)で女優デビュー。ジャン=リュック・ゴダールと親交を深め、『中国女』(1967)に主演。同年7月にゴダールと結婚するも後に離婚。ゴダールの他、ピエル・パオロ・パゾリーニ、フィリップ・ガレルらの映画に出演。80年代後半から小説を発表し始める。2012年に『彼女のひたむきな12ケ月』でサン=シモン賞とデュメニル賞受賞
原正人[ハラマサト]
1974年生まれ。学習院大学人文科学研究科フランス文学専攻博士前期課程修了。2008年以降、フランス語圏のマンガ“バンド・デシネ”を多く翻訳する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
71
ゴダールの二番目の妻、作家モーリアックの孫、ブレッソンに見出された女優アンヌ・ヴィアゼムスキー。本書の続編『それからの彼女』が最近翻訳刊行され、その映画『グッバイ・ゴダール!』が劇場公開される。本書は、パリの大学で哲学を学ぶアンヌが17歳年上の映画監督ジャン=リュック・ゴダールとの出会いから結婚に至るまでが綴られている。アンヌを抜擢しての『中国女』の撮影秘話もあり、映画ファンには興味が尽きない。アンヌを目の前にして声を出して泣くゴダールの意外な側面もみせてくれる。2018/07/01
ロア
40
2つも賞を取った本であることと、一度見たら目をそらせない印象的な著者本人の表紙写真に惹かれ、手に取った次第。いやもうなんか色々すごかった!(∩^ω^∩)芸能人の暴露本を読んでるんだったっけ?と途中で思ってしまったほど。このアンヌちゃんはマメに日記をかく子だったらしく、その日記を元に書かれてるのかな?そんな事よく覚えてるねーってくらい当時の出来事が詳細に綴られてます。とにかくゴダールが情熱的なのです!あとがきではボロクソ言われてしまってますが、そんなところも含めて私は好きですけどね(^ω^)2016/09/08
garth
13
これだけ読むとゴダールおっさんどうなんだよって感じなんだけど(で、それはかなりの部分事実ではあるんだろうけど)、オレはこんな風に書いてしまうアンヌ・ヴィアゼムスキーのほうがどうなのと思ってしまった。絶対こんな無垢なカマトトじゃなかったと思うんだけどなあ。そういうわけでリチャード・シラー夫人が小説を書くとこんな風になるんだろうと思った。2016/09/12
アヴォカド
12
それを言っちゃあおしまいよ、なんであるが、なんとも遠い。彼女自身が望んだわけではないにしても、文化的にも(モーリヤックの孫!)階級的にも(亡命ロシア貴族の娘!)経済的にも(ブーローニュの森にほど近い高級住宅住まい!)交友関係にも、何もかもに恵まれたセレブの、映画のストーリーのような12ヶ月で、でも19歳の小娘だよね?とところどころツッコミを入れたくなる。半世紀もたって書くことには記録としての意味もあるし、書くだけの才能も素晴らしいが、過去は常に美化のファクターがかかっていることを忘れることは出来ない。2016/10/14
シカジー
6
ブレッソンのバルタザールで主演女優さんで心に残る人だったので読んでみたら。大変家系の良いブルジョワ階級のお嬢様で、周囲に当たり前に有名人がいてイメージしている通りのフランスのバカンスを過ごしていたり、吸収する日常の空気からして違うので、はぁーと溜息を着きながら読みました。ゴダールが惹かれるのも無理はない。愛がまだ何だかよくわからない少女アンヌがゴダールに付き纏われる中、彼にたくさんの映画を教えられ目いっぱいに吸収する様子は羨ましい。中国女を観るのがとても楽しみ。続編の本も読んでみたくなりました。2023/02/01