内容説明
わたしたちは、だれかの命をもらって生き、生かされている。北の大地の先住民、アイヌの深い知恵に学ぶ命の物語。
著者等紹介
寮美千子[リョウミチコ]
1955年、東京に生まれる。1986年、毎日童話新人賞を受賞。1992年、アリゾナの先住民居留地を訪れたのを機に『父は空母は大地』(1995パロル舎、2016ロクリン社より改訂復刊)を上梓。2005年、泉鏡花文学賞受賞をきっかけに奈良に移住。奈良少年刑務所で詩の授業を行なう
小林敏也[コバヤシトシヤ]
1947年、静岡県に生まれる。1970年、東京藝術大学美術学部工芸科卒。デザイナーを経た後、惹かれていた宮澤賢治の作品世界に本格的に取りかかる。1979年からパロル舎でスタートした「画本宮澤賢治シリーズ」(好学社)は、現在16冊を数える。イラストレーションのみならず、印刷技法や造本までも視野に入れたトータル的な絵本づくりを目指し、その評価は高く、2003年に第13回宮沢賢治賞を受賞。青梅の山間で「山猫あとりゑ」を営みつつ、侘び住まいを送っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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♪みどりpiyopiyo♪
46
わたしは、生まれたばかりの熊のカムイだ。… ■雪解けを待つ熊の親子から始まる 厳かで暖かな絵本です。イオマンテとは、カムイ(神)の国からの客人であり賜物である熊の魂を、再びカムイの国へ送り返すアイヌの儀式。自然に対する感謝や畏敬の念が強く込められています。 ■この本、物語も版画風な絵もあとがきも素晴らしくて。命の繋がりを説きつつも説教臭さや嘘がなくて良かったです。小さい子には『ひまなこなべ』、大きい子には『ひまなこなべ』とこの本を薦めたいです☆ (2003年 パロル舎。2018年 加筆修正 ロクリン社)2018/03/19
とよぽん
38
熊は山の神様(キムンカムイ)。熊送りの儀礼イオマンテを題材にした物語。文は寮 美千子さん、画は宮澤賢治の絵本で知られる小林 敏也さん。文も絵も、アイヌ民族の生活や情感を巧みに表している。「いのちと魂との、おおきなめぐりのなかにいる。すべては、めぐるいのちのめぐみ。」終盤のメッセージが読者をあたたかく包み込む。アイヌ民族のふところの深さを感じた。2019/12/13
モリー
33
この本を読み、世界中の少数民族に伝わる神話や民話も読んでみたくなりました。2019/03/23
かおりんご
31
絵本。作者があとがきにも書いていますが、イオマンテ(クマ送りの儀式)は、なにも野蛮なことじゃないんですよね、、、私たちだって、鶏肉や牛肉なんかを食べているわけで、でもアイヌの人たちはいただいた命にたいしてきちんとお礼をしている。ただそれだけ。けれど、この本を読む前は、『わざわざ小熊を生け捕って、大事に育てながらも殺すなんて殺生な!』なんて思った私がいたのも事実です。こうやって誤解が生じるんですね。時おりアイヌ語が挟まれていますが、これは分かりやすいです。返却までに何度か読み直します。2018/09/18
かおりんご
29
再読。読めば読むほど味わい深い。殺すのは忍びないけれど、という切ない気持ちもよくわかります。無駄な殺生はしなかったというアイヌ。カムイに感謝する心が素敵です。2018/09/20