内容説明
勇気、心、開かれた思考を持って、従順とたたかう。
目次
序・従順―私たちの文化の根本問題
従順の問題点
子どもの成長と従順
従順の原因
誤ったアイデンティティと破滅行為
権威と従順
従順から逃れる道
国家論―従順の権力構造
従順―私たちの文化の基盤と病理
従順とのたたかい
著者等紹介
グリューン,アルノ[グリューン,アルノ] [Gruen,Arno]
1923年、ベルリンでユダヤ人の両親のもとに誕生。1936年、米国に移住。心理学を専攻し、1954年よりニューヨークのハーレムにある子ども病院の心理療法師として活動。1961年、テオドール・ライクのもとで精神分析医として学位を取得。その後、ラトガース大学で神経学ならびに心理学の教授として勤務するとともに精神分析医として活動。1979年、スイスのチューリヒに移住し精神療法の診療所を開設した。2015年10月に逝去。フロイトらの心理学を(批判的に)学び、ニーチェの哲学、フランクフルト学派の社会哲学の影響を受けた論考は、近代的な文化の中に生きる私たちの心の問題を解明し、「コピー」として生きるのではなく、「オリジナル」として生きるように提唱する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケディーボーイ
41
「子どもは、自分が〜無力だと感じており〜論理的に考えて抗議するにはあまりに未熟である。そこで大人は、圧倒的な力と権威で、子供を黙らせ、しばしば子どもの感性を奪い取る。子どもは、自分の不安が最高潮に達すると、自動的に攻撃者の意思に自分を従属させ、攻撃者の意向を察知し、自分自身をすっかり失い、攻撃者とまったく一体であるかのように自分を強いる」実際の子供に対する矯正については一長一短ある気もするが、分別ある大人が自分を虐げる権力者を称賛し、あたかも自分が抑圧者側にいるかのように振舞うのはやはり病的に思える。2024/11/12
ココアにんにく
6
図書館でタイトルを見て手に取ると、有名なミルグラム実験のことが書かれていたので読んでみた。「従順」一見よさそうな言葉ですが、同調圧力の強い日本のことを思うとそうとも言えない。従順を強いる人との自己同一化。最近読んだ本の中にも何回も出てきました。人の価値観ではなく自分の人生を生きることを考えました。著者は1923年ベルリン生まれのユダヤ人。ナチスのこともいろいろ書かれていました。小さなコミュニティから国家まで従順を強いる場面。ちょっと難しい本で読解力が足りませんでしたが読んでよかった。2017/10/20
ころりん
3
「従順」(盲従?)が美徳とされる観念が、国家、家族、教会、あらゆる単位で、暴力と病理を生み出しているかをえぐり出す。 支配欲求が、不安や無力感、低い自己肯定感と強調し合って正当化され、人格や自由や感情を無視していく。 以前は「牧師に従うのがよい信徒」とゾッとする声も聴いたけど、根っこには、不安や無力感で、恵みじゃなくて恐れがあったのだなぁ。 牧師・説教者が、熟考しなければならない問いかけです。 鍵は、従順を強いない、共生・勇気。 他者も自分も、支配できない宝だから、解放や自由を生み出す言葉を紡ぎたいもの。2016/11/12
狼
2
従順というのは、会社でも家庭内でも親子関係でも学校でも、日本のみならず世界中で起こっている、心の病。 正直な感想では、私自身の読解力がなく、単語力語彙力がないからだと思うが、 やや難しかった。 なぜ、私達は無意識に従順になってしまうのか詳しく説明してあったけど、私の能力のなさでついていけなかった。 従順から逃れる方法も、短くまとめられていたように思える。 私自身も、会社や毒親に従順な人間になっている。この本を読み、従順から逃れられるか自分でも分からない。 改めて再読してみよう。2025/03/21
Inuko
2
読んでよかった。これまで「従順」について深く考えることなく美徳と信じていたが、それがもたらす様々な闇について知った。なかでも、それが内面の自己疎外と権力者への自己同一化を引き起こすことや、ある人をおとしめることによって自分が自由であると感じるような感情のゆがみを生むということについて、なるほどと思った。「無意識的な従順」の鎖から自分を解放し、共感や人間的な思いやりを生きるものになりたい。『勇気、心、開かれた思考こそが、従順を打ち破る力である。』2020/06/13