出版社内容情報
もっと、もっと…これ以上はのぞめないのに
さらなる成長をめざす。
空間を奪い合うように
せいたかのっぽの家が建てられていく。
頭上の空が小さくなってしまった時、
住民たちがある奇策を思いついた。
飽和社会へ問いかける、渾身の一作。
帯には谷川俊太郎氏の推薦コメントを掲載。
「おかしくて腹立たしくて哀しくて…
絵本を読み終えたら、
どうしてもほんとの空を見上げたくなる」。
著者紹介
村尾 亘(むらお こう)
1977年生まれ 東京都在住。多摩美術大学卒業。
広告代理店勤務などを経て独立後、
ニューヨークに1年滞在。
マンハッタンやブルックリンで個展を開催。
毎日広告デザイン賞奨励賞(2003年)、
二科展デザイン部特選賞(2003、2004年)
NY Coo Gallery Open Art Contest入選(2010年)
書籍装画やイラストなどを手がける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
148
私たちの行く末を考えさせられる絵本。読んだ子どもは不思議に思うだろう。なぜ、必要不可欠なものをあえて失わせ、ひしめき合っているのかと。大人は胸が痛いだろう。その純粋な疑問の答えに窮する。一人ひとりの人間が欲のままに行動し、社会を複雑にしていく。養老孟司さんの話を思い出す。都市化に向かうと病むのは当然。自然の中で自身を取り戻さないと、不自然な世界では苦悩する。想像を超える深い内容。絵の上手なおサルが取った行動は一見素晴らしいことのようで、闇を深めただけである。それに気づいた者は、脱出して心が晴れ渡るだろう。2025/09/13
けんとまん1007
72
裏表紙にある谷川俊太郎さんの言葉どおり。空を見上げた。以前、九州のある町へ行った時のことを想い出した。空が広いなあ~と。それは、今、自分が住んでいるところでもそう。ただ、立山連峰があるので、その山並みに抱かれているという思いがある、旅先では、眼に入る山並みが無かったこともあり、一層、そうかんじたのだろう。広い空に、鳥が羽ばたき、風が吹き、雲が流れる。そのありがたさを思う。2024/09/27
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
56
タイトルと表紙の楽しそうな絵にひかれて読んだが、とても考えさせられる内容であった。人間の欲望や経済発展していった事から、地球環境破壊や温暖化など、今まで、いや今も人間が壊し続けてきている自然に対して、人間への警告のような内容。頭をガツンと叩かれたような気がした。空の青さも自然な色だから癒されるのだろう。本物には敵わない。これは是非とも手にとって欲しい一冊。2019/10/28
Natsuki
42
ないものはつくればいい。そんな安易で傲慢な考えが、脆く崩れていくような絵本。コミカルな表紙絵からは想像できなかった。この絵本ではひとつの街を舞台にしているけれど、これを地球に置き換えたらどうだろうか。それこそ逃げ場がない。この世界には、替えのきかないものが山ほどある。当たり前にあるものこそ大切にしていく必要があると改めて思う。2024/04/07
anne@灯れ松明の火
39
遠い方の新着棚で。表紙とタイトルに惹かれて。初めは楽しい感じだったが、意外な展開で、切ない話になってゆく。ラスト、ぼくは気づけたけれど、あのまちの人はあのままなのだろうか? 袖に、谷川俊太郎さんの言葉「おかしくて腹立たしくて哀しくて…絵本を読み終えたら、どうしてもほんとの空を見上げたくなる」2017/12/01