出版社内容情報
もっと、もっと…これ以上はのぞめないのに
さらなる成長をめざす。
空間を奪い合うように
せいたかのっぽの家が建てられていく。
頭上の空が小さくなってしまった時、
住民たちがある奇策を思いついた。
飽和社会へ問いかける、渾身の一作。
帯には谷川俊太郎氏の推薦コメントを掲載。
「おかしくて腹立たしくて哀しくて…
絵本を読み終えたら、
どうしてもほんとの空を見上げたくなる」。
著者紹介
村尾 亘(むらお こう)
1977年生まれ 東京都在住。多摩美術大学卒業。
広告代理店勤務などを経て独立後、
ニューヨークに1年滞在。
マンハッタンやブルックリンで個展を開催。
毎日広告デザイン賞奨励賞(2003年)、
二科展デザイン部特選賞(2003、2004年)
NY Coo Gallery Open Art Contest入選(2010年)
書籍装画やイラストなどを手がける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
53
タイトルと表紙の楽しそうな絵にひかれて読んだが、とても考えさせられる内容であった。人間の欲望や経済発展していった事から、地球環境破壊や温暖化など、今まで、いや今も人間が壊し続けてきている自然に対して、人間への警告のような内容。頭をガツンと叩かれたような気がした。空の青さも自然な色だから癒されるのだろう。本物には敵わない。これは是非とも手にとって欲しい一冊。2019/10/28
anne@灯れ松明の火
37
遠い方の新着棚で。表紙とタイトルに惹かれて。初めは楽しい感じだったが、意外な展開で、切ない話になってゆく。ラスト、ぼくは気づけたけれど、あのまちの人はあのままなのだろうか? 袖に、谷川俊太郎さんの言葉「おかしくて腹立たしくて哀しくて…絵本を読み終えたら、どうしてもほんとの空を見上げたくなる」2017/12/01
Natsuki
36
ないものはつくればいい。そんな安易で傲慢な考えが、脆く崩れていくような絵本。コミカルな表紙絵からは想像できなかった。この絵本ではひとつの街を舞台にしているけれど、これを地球に置き換えたらどうだろうか。それこそ逃げ場がない。この世界には、替えのきかないものが山ほどある。当たり前にあるものこそ大切にしていく必要があると改めて思う。2024/04/07
しぃ
36
表紙の絵と、もうひとつ猫の家はとっても可愛くて、これだけだと可愛い絵本なんだけど、問い掛けてくるのは重いテーマ。特に鳥がぶつかるのなんか、鏡のような高層ビルでは聞いたことあるし…。空は、つくれない。あの街で出来るのは取り戻すことだけだけど、それに気付いて行動できる人はいるのだろうか。窓から見える今日の青空に感謝。2018/06/17
Y2K☮
35
表参道の山陽堂書店で購入。詳しくないけど絵のタッチがアニメーションに近い様な。物が増えれば増えるほど家が高く積み重ねられ、やがて空が見えなくなる。ならば物を捨てて家も壊せばいい、欲望を抑えればいいと誰もが考える。でもいざ当事者になると穏便な策を探してしまうのが人の性。そりゃそうだ。せっかく建てた家を、集めた物を。と同時に原発のことが脳裏に浮かんだ。世の中には技術的には可能でも作ってはいけないものがある、と。あとは物に執着しないってことか。あれば便利だし嬉しいけど無きゃ無いでいい。この精神を忘れずにいよう。2017/08/05