内容説明
香川県・小豆島に生まれ、シベリア出兵から帰還後、小林多喜二にならぶプロレタリア文学の旗手として活躍し、病のため若くして逝った小説家、黒島伝治(1898~1943)。京都の「古本ソムリエ」、山本善行の選による瑞々しい短編文学コレクション。
著者等紹介
黒島伝治[クロシマデンジ]
1898年、香川県小豆郡苗羽村の自作農の家庭に長男として生まれる。地元の苗羽小学校、内海実業補習学校を卒業後、醤油会社に醸造工として入るが1年ほどで辞める。その頃から文学修行をはじめ、黒島通夫というペンネームで雑誌に投稿。19歳の時に東京に出て、建物会社や養鶏雑誌社で働きながら小説を書き始めた。21歳で早稲田大学高等予科文学科に入学。1925年、雑誌「潮流」7月号に掲載された短編小説「電報」が好評を得て、プロレタリア文学者としての道を歩み始める
山本善行[ヤマモトヨシユキ]
1956年、大阪生まれ。関西大学文学部卒業。エッセイスト、「古書善行堂」店主、書物雑誌「sumus」代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Akihiro Nishio
20
香川で買った本2冊目。全く知らなかった作家だが、小豆島出身で1920年頃の作品集。他はプロレタリア文学らしい作品らしいが、本作品集は瀬戸内の穏やかな暮らしぶりを描く。一番印象に残ったのは「田園挽歌」。全く冴えない兄、少しは冴えて二枚目の弟に嫁いだ2人の女性。弟に嫁いだ美女が大事にされるのに兄嫁が爆発。辛抱強く働きものだったのが一転、家を支配し始める。稼業は益々栄えるが、一族は隅に追いやられていく。息子2人がぼんくらだったので止む無しでしょう。今読むと昔の価値観がわかって面白いが、当時は面白かったのかな?2019/06/19
kii
0
一粒の砂の/千分の一の大きさは/世界の/大きさである2014/03/02
hisa
0
瀬戸内海の風が海が、そしてその温度が伝わってくるような装幀。明治から昭和初期の、貧乏でどうしようもない農民の生活の中にも人間のたくましさが垣間見られた。瀬戸内の言葉もまた印象的で会話文が巧み。2013/11/10
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