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内容説明
漫画家を目指すパダは、物流倉庫でのバイトで生計を立てている。それは、「地獄のバイト」として知られる「カデギ」だった。トラックで運ばれてくる積み荷をおろす単純作業にケミカルな甘さが特徴のミックスコーヒーは必須の霊薬。6年間の「底辺労働」から見えてきた社会を「壁にあたる」「壁をくずす」のふたつの章で描きだす。『大邱の夜、ソウルの夜』に続くKGBシリーズの第二冊!2019いまの私たちの漫画賞受賞。
目次
壁にあたる(カデギ?;一日一日;こわれもの注意;赤いジャンパー;一週間 ほか)
壁をくずす(恐竜とハエ;マッコリの力;時給制;それぞれの事情;お盆パニック ほか)
著者等紹介
イジョンチョル[イジョンチョル]
韓国・浦項生まれ。漫画家。韓国最大の鉄鋼メーカーPOSCOの労働者団地で食堂を経営する両親のもとに育つ。美術大学で西洋画を専攻。卒業後、漫画家を目指しソウルへ上京。生計を立てるために6年間、複数の宅配便会社で「カデギ」のアルバイトを続けた。その体験を描いた『カデギ』は2019年「いまの私たちの漫画賞」を受賞
印イェニ[インイェニ]
韓国で生まれ、人生の半分を日本で過ごした中間者。字幕屋。翻訳とは原文を解体して、違う材料で同じ構造物をつくる作業だと信じている
首藤若菜[シュトウワカナ]
立教大学経済学部教授。専門は労使関係論、女性労働論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
18
こんにちは!Amazonの配送センターで1日だけバイトをしたことが自慢の私がやってきましたよ!かつて長距離トラックドライバーさんに缶コーヒー過剰摂取ゆえの糖尿病が多発することが問題になってました。トラックの荷台に隙間が一切なく詰められた荷物を下ろす現場、カデギの方達の燃料源も缶コーヒーだとは。カデギの過酷さと、いかに夢を手放さないか、その2つがテーマ。精神力だけでは越えられない壁がある、崩しても崩してもなくならない荷物の壁が。幾つになっても遅いことはないというのが綺麗事としか聞こえなくなる。早い方がいい。2023/08/18
チェアー
4
わたしが当たり前と思って受けているサービスの対価が支払われず、しわ寄せを受けている人たちの話だ。もし私がこの仕事をしていたら、「お前、いっぺんでも自分で荷物運んでみろよ」と言いたくなるだろう。だけど、実際に荷捌きする人の姿は隠されて、運ぶ人は息を弾ませながらもがいることはない。 いずれ矛盾は爆発する。軟着陸させようと、規制や賃上げで対応するが、運送業に携わる人々を下に見る差別意識は弱まっていない。きっとどこかで爆発するだろう。2023/09/12
緑虫@漫画
1
★★★☆ 韓国で小口貨物の仕分け(韓国語でカデギという)をする人のお話。倉庫というよりターミナル、荷捌き場ですね。物流が労働集約型産業であり現場の労働者が過重労働になりがちなのは我が国と同じだけど、韓国の方が労働環境はきつめかな。「韓国が世界に誇る物流システム」などのフレーズは本邦においても頻繁に目にするので読んだ瞬間のけぞった。絵柄にはいましろたかしを想起するトボケの味が若干感じられる。2023/08/15
蝮
1
地獄のバイト。働いても働いてもなぜ貧しいのか?どうやって抜け出せばいいのか?なぜ働いてない豊かなやつがいるのか?田舎ではやることがない、都会ではやりたくないことをやらなくちゃいけない。なぜ?ああ、搾取の世の中、どうか体を壊さないでくれ。心を壊さないでくれ。配達が遅れたっていいよ。2023/08/02