内容説明
名作の復刊。厭戦ルポか、好戦ルポか―中国戦線の「土地と農民と兵隊・戦争」をリアルに描いた、戦争の壮大な記録。
著者等紹介
火野葦平[ヒノアシヘイ]
1907年1月、福岡県若松市生まれ。早稲田大学英文学部中退。1937年9月、陸軍伍長として召集される。1938年「糞尿譚」で第6回芥川賞受賞。このため中支派遣軍報道部に転属となり、以後太平洋各地の戦線に従軍。1960年1月、死去(自殺)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くるた
3
「土と兵隊」「麦と兵隊」ともに、日中戦争における兵隊達の様子を生々しく綴ったものです。「土と兵隊」の方が、弟に宛てた手紙という体裁をとっている為なのか、または戦場に入るのが初めての経験だったからか、著者の内面的な部分の描写がより身近に感じられました。戦場において敵兵を見つめる際の、立場を超えた人間らしい感情を捨てなかった所と、しかし侵略行為には疑問を持たなかった部分との両方が内在していて、それ故に多くの凡人を丁寧に描くことができた、著者の鋭い感性を尊敬します。2019/12/16
ELW
0
戦況が悪くなかった時代だから、奇妙な勇ましさが少なくて助かる。logisticsがなっちゃいないことを読み手が悟るのを気にしなかったの かな。徴兵制の時代だから、皆があたりまえに知っていたからどーって ことないのかな。『満州事変から日中戦争へ』を読んでおいて良かった。2015/11/06
Ai
0
日中戦争に従軍した作家によるルポルタージュ。「土」は、かの盧溝橋事件から2カ月くらいで応召して兵隊となり、大陸に渡って進軍したときの記録。作家はその後(中国にいる間に)別の作品で芥川賞を受賞し、それを機に軍報道部に抜擢された。その翌年発表したのが「麦」。どちらも将校たちを主役にした華々しい戦記ものとはまったく違って、軍の一番下層を支える兵隊たちの日常が描かれている。日常と言ってももちろん戦場なので、激しい戦闘も、中国兵への残虐行為も出てくるが、大陸の風土や自然が思いのほか叙情たっぷりに描かれている。2021/08/16
hironz
0
行軍記というものを初めて読んだ。当時の日本人の感覚が読み取れ、色々と考えさせられる。 1937年土と兵隊では13人の隊長として。 1938年麦と兵隊では、軍部報道員として。 置かれた立場、環境によって短い時間でも人は変わっていく。平和を強く願う一人として、自分に必要な能力は状況をそのまま見る力と想像力。相手を相手の立場から理解すること。 しかし中国に侵略していく日本。兵站を考えていない愚かさに驚いた。紀元前のローマ帝国でも、三国志の時代でも重要視されていた基本が無い。これが大陸と島国の違いなのか。2020/06/30
Kanou Hikaru
0
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