内容説明
アジア・太平洋戦争期およびその戦後期を生きた俳人に取材。二度と繰り返してはならない経験や、大震災を含め、決して忘れてはならないものは何か、自作句との関連で丹念に聴きとる。折しも平和安全法制(安保法制)が施行された日本の今、時代を学び時代から学ぶ、昭和・平成俳句の証言の書。
目次
金原まさ子の世界―『カルナヴァル』
後藤比奈夫『句作り千夜一夜』
金子兜太への予備門
俳句の革新―伊丹三樹彦
今、書かねばならないこと―小原啄葉
ふたりの北の俳人―勝又星津女と依田明倫
反戦の女流―木田千女
橋本美代子―多佳子を語る
橋爪鶴麿―東京空襲のことなど
柿本多映の世界〔ほか〕
著者等紹介
栗林浩[クリバヤシヒロシ]
昭和13年(1938)北海道生まれ。「握手」を経て、「遊牧」「小熊座」「円錐」「街」などに所属。現代俳句協会会員、俳人協会会員。第7回俳句界評論賞、第32回現代俳句協会評論賞佳作、第18回横浜俳話会大賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
17
2015年安保法案に伴い戦時を生きた高齢者の俳人にインタビューし俳句を掲載した本。今ではほとんど忘却されていた。最初の金原まさ子の俳句に驚いた。100歳超えの女性俳人で「ヒトはケモノと菫は菫同士契れ」「緋縮緬のたふさぎなんてわらわせる」。最初の句は同性愛(菫は宝塚の隠喩だろうか三島由紀夫の世界を知る俳人)を読み、「たふさぎ」は「ふんどし」のこと。豪快な無季俳句だった。新興俳句系はほとんど忘れられていくのか。有季定型の俳人もTVに出るような人意外忘れ去られていく。それでも今の人の俳句よりも豪快だった。2025/06/11