内容説明
一次史料再検証と最新研究から浮かび上がる豊かな実像。「一家」形成や中央政権との関係。激動の世をどう生きたのか。
目次
1 鎌倉・南北朝期の南部氏(糠部と「戸」;南部氏の始まり ほか)
2 室町幕府下の南部氏―安東氏との抗争と「戦国大名」化(安東氏との戦い;田名部合戦 ほか)
3 南部氏「家督」晴政の戦い(晴政という男;永禄期糠部の争乱 ほか)
4 南部信直の決断―豊臣政権の奥羽仕置と九戸一揆(信直と「取次」前田利家;信直の南下政策 ほか)
5 発掘された南部氏城館(聖寿寺館研究の最前線;考古学から見た九戸一揆 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サケ太
17
かなり興味深い内容。某ゲームで初めて知ったくらいの南部氏。その始まりから、様々な戦。敵対する人々について書かれていく。個人的に興味深いのは、やはり南部晴政、そして南部信直について。北奥羽の人々を纏めるのは生半な事でなかったのがよく分かる。南部晴政はなかなか個性的過ぎる。豊臣政権を利用し、勢力を強固としていった信直もなかなか強か。2022/12/08
MUNEKAZ
11
地方紙の連載をまとめたものだが、一次史料に基づく南部氏の最新研究を知れる一般書は余りないので貴重。まず近世盛岡藩主に繋がる三戸南部氏の確かな史料がほとんど残っておらず、ほぼ謎の一族に近いのが驚き。火災や戦争による消失もあるが、八戸南部氏から三戸南部氏への惣領交代を正当化するために、系図を弄ったのが輪をかけている印象。また惣領とはいっても「戸の領主」たちの第一人者に過ぎず、強固な主従関係を築くには豊臣政権による介入が必要であったのも興味深いところ。特産物を生かした中央との通好も、奥州藤原氏を思わせて面白い。2022/05/22
Tomonori Yonezawa
4
地元図書館▼2021.6.16発行。ローカル新聞のデーリー東北2017.10〜20.18,全68回の連載企画を纏めたもの▼全五章二三五頁、鎌倉南北朝期の南部氏、室町幕府下の〜、家督の戦い、信直の決断、発掘された南部氏城館▼本の舞台となる南部氏が治めた北奥羽(青森県八戸市のあたり)は、○十年前、私が社会人をスタートさせた場所。後半出てくる津軽為信の弘前にも居たことあった。▼で、借りて読んだが、今知りたい歴史の地域とはちょっとズレてるし、面白い作りではない。▼レアな本だが図書館にあればいいかなって本だった。2022/01/08
フランソワーズ
3
八戸氏、九戸氏等は「戸」の領主として、自立性が保たれながら、”宗主”三戸南部氏はそれらを従え、北奥羽最大の戦国大名になった。周辺の国衆や土豪を麾下にしながら、安東氏や斯波氏と干戈を交え、分国を広げた。本州最果てでありながらも、中央との結びつきも欠かすことなく、豊臣政権下まで存続したが、大浦為信の謀反・独立を許してしまったのは痛恨事であろう。それでも九戸の乱を経ることによって、中世的な緩やかな家中統制から脱皮することができた。そんな南部氏を一次史料と最新研究で論述している。2023/08/10
やなせトモロヲ
1
★★★☆☆2022/09/30