内容説明
仏教はいかなる思想風土において生まれ、いかに画期的な新思想として発展したか。インドの哲学思想全体を正統婆羅門と一般思想界と仏教との三系統に分類し、各々の特質に注意しつつ対照的に論述。岩波書店版『印度哲学史』以後の研究の進歩の結果を示す宇井伯寿インド哲学史研究の到達点。
目次
第1 正統婆羅門系統(ウパニシャッド並びにその中の哲学;経典文学と後期ウパニシャッド;ミーマーンサー派;ヴェーダーンタ派;数論派;〓(ゆ)伽派)
第2 一般思想界系統(唯物論的並びに懐疑論的思想;ジャイナ;勝論派;正理派)
第3 仏教系統(根本仏教の学説;根本仏教の変遷;小乗仏教の変遷と学説;大乗仏教の系統と学説)
著者等紹介
宇井伯寿[ウイハクジュ]
1882‐1963。愛知県出身。インド哲学者、仏教学者。曹洞宗の僧。東京帝国大学文科大学卒業後、ドイツ、イギリスに留学。曹洞宗大学(現駒澤大学)、東北帝国大学、東京帝国大学の各教授を歴任。豊富な文献的知識をもとに緻密で周到な文献学的考証を行う学風で知られ、その業績は学界に大きな影響を与えた。研究範囲はインド六派哲学から中国・日本の仏教までの広きにわたるが、なかでも初期仏教研究、唯識思想研究を中心とした。弟子に中村元ら(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nizimasu
4
著者の宇井先生は中村元先生の師匠筋にあたる方のようでちょっと文章が堅苦しくもあるがかえって論旨が明快でわかりやすい。これが第二次大戦前に書かれていたとは驚き。内容は後半に仏教の特異性をあげつつ説明しているが前段のヴェーダの思想ともいうべき転変説と積聚説(シュウジュ)を掘り下げていくアプローチに目がウロコ。転変説は一般的に理解しやすいが積聚についての考え方はもともと多数のものが存在し世界を構築するという神話の解釈からスタートしていてむしろ中国の気なんかとも通底するものがあるなあと思ったり。頭が整理されたかも2016/01/06
ぎじぇるも
0
実力不足により理解はあまりできていない。特にインド哲学はわからなかった。仏教の方は比較的わかった気がするので、実力の試金石になったかな。高すぎるけど本棚におきたい。2024/12/30