内容説明
江戸時代の人びとは、天や神仏とどのように向き合い、生きる規範としていたのか?日本列島に生きた人々の声が聞こえてくる!
目次
序章 超越観念と政治文化
第1章 農耕・諸職業の始祖言説
第2章 『農業全書』の超越観念
第3章 民間社会の教諭と超越観念
第4章 野翁の民政献言と神道・儒学・仏法
第5章 俗間に真儒を目ざした石門心学
第6章 耕作・芸能・一揆・災害のなかで
第7章 市井国学徒の神国・神道と儒道・仏道
第8章 反乱・世直し・創唱教団の天仏神
終章 民間社会の超越観念と政治文化
著者等紹介
深谷克己[フカヤカツミ]
1939年、三重県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程を経て、文学部日本史教員として勤務。近世の百姓一揆の研究をつづけて、農民が「百姓成立」を求めて領主に仁政責務をせまることに着目、時代が共有する政治文化に視野を広げた。それが東アジアの諸王朝に通底することに気づき、脱アジア的な「日本異質論」を克服する歴史認識のくふうを進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nizimasu
4
天というのは元々中国で形成された概念なのだが、神道や仏教からくる神仏と違いどのような経緯で日本の社会に根付いたかというのがイマイチわからないというのが問題意識としてあっただけにこういう本の存在はありがたい限り。著者は儒教が日本で広く流布した江戸時代の農業書を中心にその概念について検証しているが武士社会のみならず農民の間にも「お天道さん」といわれる世界観がしっかりあるのがわかる。よくよく読んでいくと天が世界観や道徳の獲得に使われ神は「ハレとケ」、仏が死後の世界といった価値観の区別がかなりで進んだ時代と感じる2015/12/12