内容説明
利他、慈悲、思いやりを行動原則とする、ケアする経済学。他者を思いやり、社会に幸福をもたらすことに基盤を置く経済倫理は、果たして成り立つのか。ダライ・ラマ一四世と、脳科学、神経科学、霊長類学、人類学、そして経済学と経営学まで、今日の先端に立つ科学者たちが対話する。グローバリゼーションのもと、格差の拡大とポピュリズムが浸透したこの世界に、コンパッション(共苦)に根をもつ行動原理と規範を打ち立てるために。脳の神経組織からマイクロファイナンスまで、競争原理を超える人間像と社会像を提示する。
目次
序 思いやりの経済学に向けて
1 利他と向社会的行動に関する科学的研究(利己‐利他論争―心理学的視点から;共感と内受容性皮質;コンパッションの神経基盤;利他に関する仏教的観点;生存のための生物学的要求―利他再考)
2 利他と向社会的行動に関する経済学的研究(社会的ジレンマ実験;仏教経済学事始め;幸福の経済学;利他的懲罰と公共財の創出)
3 経済システムへの向社会性の導入(目的のある利益;マイクロファイナンスは何を為しうるか?;ベアフット・カレッジ;コンパッションに満ちたリーダーシップ)
結語 コンパッションは贅沢品ではない
著者等紹介
辻村優英[ツジムラマサヒデ]
1980年奈良県生まれ。神戸大学経済経営研究所ジュニアリサーチフェロー。京都大学博士(人間・環境学)。専門は宗教学。総合地球環境学研究所技術補佐員、京都大学人文科学研究所共同研究員、京都大学こころの未来研究センター共同研究員、立命館APU非常勤講師、高野山大学密教文化研究所受託研究員、神戸大学経済経営研究所助教等を経る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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