出版社内容情報
15世紀中世、旧世界の破局を目の当たりにしたニコラウス・クザーヌスの格闘を鏡として、今日のさまざまな破綻の様相を照らす。古…■ 壮大な転換期に違いない現代の世界を、構造的にとらえ、新しい世界のヴィジョンを描くことは可能だろうか。グローバリズムとナショナリズムの台頭、
IT社会と格差社会、大きな物語の崩壊と断片化する知識……。
15世紀中世、旧世界の破局を目の当たりにしたニコラウス・クザーヌスの格闘を鏡として、今日のさまざまな破綻の様相を照らす。古い神学体系に抗い、近代への転回を促したとされるクザーヌスの思想の秘密はどこにあったのか。
■ 老子の道とクザーヌスの覚知的無知、西田の絶対矛盾的自己同一とクザーヌスの反対対立の合致──自己相対化を受け入れ、他者に開かれたあり方こそ、クザーヌスの創造性を保証するものであった。現在の世界規模の自閉と暴力とを超えて、平和と共存への新しい物語を紡ぐために。
序章 中世から現代を読む
──ク?ローハ?リセ?ーション、アイテ?ンティティ、そして普遍的正義
I 破局の諸相
第1章 原発破局「フクシマ」の原因を探る
──哲学の視点からの一考察
第2章 現代日本におけるアイテ?ンティティの分裂
第3章 日本社会における〈社会崩壊〉と企業活動
第4章 近代的思考様式の限界についての一試論
──「科学・技術」との関わりを中心にして
? 他者の衝撃
第1章 『信仰の平和』におけるタタール人像
──〈破局〉のたた?中て?の〈他者〉への眼差し
第2章 クサ?ーヌスにおける理性の普遍性と哲学の複数性
──『信仰の平和』を中心にして
第3章 〈他者〉の豊饒性
? 語りえぬものへの〈開かれ〉と〈閉ざされ〉
第1章 西田幾多郎におけるクサ?ーヌスとの出会い
第2章 東アシ?アにおける〈知恵〉概念の伝統とクサ?ーヌスの〈知恵〉概念
──〈知恵〉と〈道〉、〈無学者〉と〈愚人〉
第3章 西欧における「開かれた世界、開かれた書物」
? 大きな物語の改訂
第1章 〈文明の衝突〉の時代の宗教的寛容論
第2章 〈文明の衝突〉を超える視点
終章 現代に生きる中世
八巻和彦[ヤマキカズヒコ]
1947年生まれ。専攻、中世哲学・論理学。現在、早稲田大学教授。中世からルネサンス・近代への転換期を生きた哲学者・神学者クザーヌスの研究を中心として、大きな曲がり角に立つ現代の思想的状況への発言も転回する。著書、『クザーヌスの世界像』(2001)、『境界に立つクザーヌス』(共編、2002)、『ジャーナリズムの〈いま〉を問う』(共著、2012)、『「今を伝える」ということ』(編著、2015)ほか。
内容説明
中世末の15世紀、旧ヨーロッパ世界の破局に当面したクザーヌスは、新しい世界のヴィジョンを開くために、どこに突破口を求めたのか。老子とクザーヌス、西田幾多郎とクザーヌス…さまざまな角度から、時代に先駆けた思想の苦闘を照らし、暴力と排除の予感が渦巻く現代世界の混沌を超えて、平和と共存の新たな物語を紡ぐための、構想力の足場を探す。
目次
中世から現代を読む―グローバリゼーション、アイデンティティ、そして普遍的正義
1 破局の諸相(原発破局「フクシマ」の原因を探る―哲学の視点からの一考察;現代日本におけるアイデンティティの分裂;日本社会における“社会崩壊”と企業活動;近代的思考様式の限界についての一試論―「科学・技術」との関わりを中心にして)
2 他者の衝撃(『信仰の平和』におけるタタール人像―“破局”のただ中での“他者”への眼差し;クザーヌスにおける理性の普遍性と哲学の複数性―『信仰の平和』を中心にして;“他者”の豊穣性)
3 語りえぬものへの“開かれ”と“閉ざされ”(西田幾多郎におけるクザーヌスとの出会い;東アジアにおける“知恵”概念の伝統とクザーヌスの“知恵”概念―“知恵”と“道”、“無学者”と“愚人”;西欧における「開かれた世界、開かれた書物」)
4 大きな物語の改訂(“文明の衝突”の時代の宗教的寛容論;“文明の衝突”を超える視点)
現代に生きる中世
著者等紹介
八巻和彦[ヤマキカズヒコ]
1947年生まれ。専攻、中世哲学・文明論。現在、早稲田大学商学学術院教授。国際クザーヌス協会学術顧問。京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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