ベルリン アレクサンダー広場―フランツ・ビーバコプフの物語

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 558p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784906791651
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

これが破滅的な世界戦争を控えた、20世紀という時代の始まりだった。モンタージュという前衛的な手法をもって分厚く編み上げられ…ジョイス『ユリシーズ』やムージル『特性のない男』と並び称される大長編の画期的新訳。ナチスの足音が聞こえる、ヴァイマール期ベルリンの下層社会を舞台に、一人の男の没落と死、そして再生を描く大都市小説。モンタージュという前衛的な手法をもって分厚く編み上げられた精神の現実、「赦し」とは何か。

 訳者自身の青春の言語であった川崎・鶴見周辺の方言を駆使して、盗賊や娼婦たちがうごめく猥雑な都市空間を生き生きと立ち上がらせる

アルフレート・デブリーン[アルフレートデブリーン]
1878-1957年. シュテティーン生まれのユダヤ系ドイツ人. ベルリン東地区で貧しい労働者を対象に開業医を営む. 1916年に, 中国18世紀の革命運動を描いた
『王倫の三跳躍』を出版. 同年, フォンターネ賞を受賞. 一躍脚光を浴びる. 1929年, 『ベルリン アレクサンダー広場』を出版. ナチスが政権を取って後の1940年, アメリカに亡命する. 亡命中の41年, ユダヤ教からキリスト教に改宗. 46年, ドイツに帰国. 70年代初頭から、その文学の斬新さと時代の要請から注目され始め, 今日では現代ドイツ文学を語る際に欠くことのできない存在となった. またとりわけ近年, 再評価の機運が高まっている. 他の邦訳書は, 『ハムレット──あるいはながき夜は終りて』(早崎守俊訳, 筑摩書房, 70年), 『二人の女と毒殺事件』(小島基訳, 白水社, 89年), 『王倫の三跳躍』(小島基訳, 白水社, 91年), 『ポーランド紀行』(岸本雅之訳, 鳥影社, 2007年)などが出版されている.

小島基[コジマハジメ]
1942年, 生まれ. 現在, 広島大学名誉教授. 71年, 当時の西ドイツ, ヴュルツブルク大学哲学科修了(哲学博士号取得). 78年, 広島大学に就任, 2005年, 定年退官まで勤務.

内容説明

人を生かしている力の秘密。死とは、真の再生とは何か。破滅的な世界戦争を控えた、大都市ベルリン。盗賊や娼婦など、下層にうごめく人間たちが織りなす猥雑な都市空間に、ナチスの靴音と、死神の声が響き渡る。生のどん底から甦った男の物語。ライナー・ファスビンダー監督映画の原作を、画期的な新訳に。日本語の方言と俗語を駆使し、註を付して物語の奥行きを伝える。

著者等紹介

デブリーン,アルフレート[デブリーン,アルフレート]
1878‐1957年、シュテティーン生まれのユダヤ系ドイツ人。ベルリン東部地区で貧しい労働者を対象に開業医を営む。1916年に、中国18世紀の革命運動を描いた『王倫の三跳躍』を出版。同年、フォンターネ賞を受賞。一躍脚光を浴びる。ナチスが政権を握って後の1940年、アメリカに亡命する。亡命中の41年、ユダヤ教からキリスト教に改宗。46年、ドイツに帰国。70年代初頭から、その文学の斬新さと時代の要請から注目され始め、今日では現代ドイツ文学を語る際に欠くことのできない存在となった

小島基[コジマハジメ]
1942年、生まれ。現在、広島大学名誉教授。71年、当時の西ドイツ、ヴュルツブルク大学哲学科修了(哲学博士号取得)。78年、広島大学に就任、2005年、定年退官まで勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

24
1年近く経ってからの再読となったが、こちらの新訳は注釈が頻繁に付されているので、1回目では読み飛ばしていた箇所や意味がわからなかった文章が容易に理解できた。むしろ最初からこちらを読んでいたら良かったのかもしれない。まあ新訳が出版されること自体知らなかったのだから仕方ないのだけれど。次はファスビンダーの長大な映画に挑戦か…あの監督本当に苦手なんだよなあ。いつか時間が出来たらということで…。(2017・20)2017/04/03

秋良

19
【G1000】ガーディアンはこういうダラダラした作品が好きだな。私は好きではない。WW Iの後、ナチスの足音が微かに聞こえてくる頃のベルリン。恐らくPTSD持ちのフランツは、刑務所から出所してからもせこい悪事に手を染めたり女に養ってもらったりしながらふらふらし、性悪なラインホルトと出会うことで没落への道を辿っていくことになる。自己放棄しても周りが助けてくれて、それでも反省もしなきゃ感謝もしないフランツが何度も助けてもらえるのが不思議。2023/08/23

イシザル

14
フランツは、第一次世界大戦に、従軍して心がぶっ壊れたんだ。心は治りかけてるのに、またもう一度世界は混沌とした同じ間違いを匂わせ終る。 最後に心理学の教授?に口答えをする若い精神科医は作者自身なのだろーか? 2021/03/15

きゅー

13
情婦イーダを殺したフランツの更生の物語を主軸としながら、雑誌からの抜粋、広告、誰かの会話、報告書、聖書など雑多な文章が挿入される。そうした中でギリシア神話を基とした挿入文も多く、殺されたイーダを象徴するように復讐の女神(エリニュス)が叫び声を上げる。本作の思想には、ソポクレスによる『オイディプス王』が大きく影響を与えていることが伺われる。オイディプス王が苦難を通じで星に至ったとことと同様に、フランツも真に再生するためには、一度死ななければならない。2018/06/28

Э0!P!

1
圧巻だった。半分来るまでは大して話も動かず、何を読まされているのかわからなかったが、後半から一気に動き出して一気に読めた。現代社会の物質的な大質量は個人を粉砕する。(無感情な屠殺や巨大な機械を使った土建工事。)社会保障は機能せず、人々が権利のために戦う時代において、品性を堕としてまで生きねばならないことがあるがそれは盲目の道なのである。現状をあるがままに受け入れ常に責任を全うする生き方以外には悲劇には圧し潰されずに生きて行くことはできない。フランツの受難と超克の歴史には勇気が与えられるものである。2024/03/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11457956
  • ご注意事項

最近チェックした商品