内容説明
初期人類は、一夫一妻制であって、父系で結びついた拡大家族を形成した。彼らは縄張りをもち、男は育児に参加した反面、生育基盤から離れる社会的流動性は女の方が高かった。類人猿ではない、“ふつう”のサルの抱擁行動、食餌の内容、ヒトと共通する長肢化の条件、彼らが構成する社会の重層性、これらの観察と分析の結果、得られた初期の人類社会のモデルです。さて、あなたはここから、ヒトの起源と社会性の条件について、どんな物語を紡がれますか―サル学の冒険。
目次
はじめに なぜいま、“ふつう”のサルから人類の起源と進化を探るのか(霊長類研究から人類の起源と進化を―サル学とは;人間中心主義から類人猿中心主義へ―類人猿認知科学研究の進展 ほか)
第1章 ニホンザルの社会行動の文化(動物の文化的行動;ニホンザルの抱擁行動 ほか)
第2章 ヒトの社会の起源とその進化(人類進化と霊長類社会のあらまし;地理的分散の性差―性偏向分散 ほか)
第3章 ヒトの長肢化の選択圧―平行進化(サバンナのサルとヒト;ヒトの進化の改訂版 パタスモンキーモデル)
著者等紹介
中川尚史[ナカガワナオフミ]
京都大学大学院理学研究科教授、理学博士。1960年大阪府生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tom
12
書評で取り上げられていたので借りてきた。「です、ます体」で書かれた進化について書かれた本。これは、なかなか珍しい。内容はといえば、①小型のサルは、自身の体の大きさに比して、大きな子を産む。②母親の育児負担が増す。③父親の育児協力が必要。④一夫一妻の進化圧がかかる。⑤家族と緩い親族の集団ができる。⑥質の良い食物の摂取が必要。⑦長い脚を持つ個体は、質の高い食物を得ることができる。⑧消化管への負担を減らすことができ、脳を大きくする栄養学的余裕が生じる⑨初期ホモ属が誕生。ということだそうだ。ふむふむです。2016/01/27