内容説明
関東大震災下の朝鮮人「虐殺」、警察当局は自警団の暴走をなぜ阻止できなかったのか。民衆との協調に基づく警察改革を掲げ、大正デモクラシー期の「学士官僚」が推進した「善導」主義という名の治安秩序構想の論理と実態を、震災下の「朝鮮人問題」への対応の検証を通して明らかにする。
目次
序章 課題と視角
第1章 警察における「善導」主義的政策の形成と展開(「学士」警察官僚の誕生と「善導」主義的政策の原型の形成;群衆の登場と警察行政の転換;司法部との治安維持方針の対立と「善導」主義的政策の原型の形成;「善導」主義の実施を促した内部的要因;「警察の民衆化、民衆の警察化」政策の実態;大正期「善導」主義の論理;小結)
第2章 震災前の日本社会の「朝鮮人問題」と警察(警察の内地在留朝鮮人に対する「善導」主義的政策の形成と展開;「併合」以後の朝鮮人労働者の増加と日本社会;新聞記事における朝鮮人の描かれ方;小結)
第3章 震災下の「善導」主義的政策と「朝鮮人問題」(震災下の警察による「朝鮮人問題」対策;震災下の戒厳体制と陸軍による治安維持;司法省による「厳罰」主義的な「朝鮮人問題」対策;東京府下の治安維持政策と「善導」主義;神奈川県下の治安維持政策と「善導」主義;埼玉・群馬・千葉等の震災下の治安維持政策と「善導」主義;「朝鮮人問題」の善後策をめぐる関係官庁の協調と対立;震災下の警察による治安維持政策の批判と「善導」主義)
第4章 ポスト震災期の警察による「善導」主義の変容(治安維持令から治安維持法へ;治安維持法制定と内務省内「厳罰」主義派の台頭;震災以後の「善導」主義の連続と不連続)
著者等紹介
宮地忠彦[ミヤチタダヒコ]
1970年、神奈川県横浜市生まれ。1994年、立教大学法学部卒業。2000年、立教大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。2010年、論文博士(政治学)。立教大学法学部助手、和光大学・専修大学・学習院大学・女子美術大学等の非常勤講師を経て、立教大学法学部特任准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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