内容説明
精神科治療の場から、医療機関・危機管理のシステム整備、そして翻訳者としての文学的営為まで―、つねに現場に身を置き、思索し、行動する「臨場的な叡知」がここにある。変貌する社会状況の中で、人間の“正気”の条件を探索しつづける中井久夫、待望のエッセイ・論集Part2。
目次
宗教と精神医学
公的病院における精神科医療のあり方
精神医療改善の一計
神戸大学医学部附属病院第二病棟「清明寮」の開設について
清明寮の庭
ある臨床心理室の回顧から―故・細木照敏先生を偲びつつ
コラージュ私見
芸術療法学会の二十五年
難症論
時間精神医学の試み〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいかあ
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2巻は専門的な話が多く、ややとっつきにくいところがある。そんな中で、「子どもと大人の心の架け橋」の書評は、書評だけど、子供の頃の時間の感覚をありありと思い出させてくれる良い文章だった。自分も中学になる頃までは永遠の時間の中に生きていた感じがあった。あんまり時間が長すぎて、途中で何度も退屈したり絶望したりするくらいの永遠だった。それが、中学の半ばあたりで「永遠を越え」て時間が流れだしたような感じがしたのをよく覚えている。小さな頃に比べて、アニメの放映を待つ一週間がなんと短くなったことよ。2012/02/29