内容説明
芸術上の危機にくわえ、生活面でも苦境に立たされた太平洋戦争期の文学者たち。それでも、文学者が文学者でなくなるわけではない。思想戦の戦士としての活躍が期待された文学者たちは、大東亜共栄圏を謳って展開される戦局の中、国家・国民のためにどれだけ役に立てるのかという社会性に、それぞれのスタンスで向きあっていった―これまで、ていねいに検証されることのなかった太平洋戦争開戦後の文学について、同時代資料の広範な調査・分析に即して、言表された限りにおける文学者の言動や作品、評価軸の変動について考察する。
目次
第1部(文学(者)と思想戦
マレー・シンガポール攻略作戦をめぐる報道文
太平洋戦争開戦後における文学者の使命‐役割
昭和一〇年代後半の新しい文学―芥川賞受賞作品の同時代評価)
第2部(大東亜共栄圏言説の裂け目―第一回大東亜文学者大会の修辞学;太平洋戦争末期の文学者―第二回大東亜文学者大会・決戦会議;空襲下の文学者―第三回大東亜文学者大会・南京大会;大東亜会議・大東亜共同宣言と文学(者))
著者等紹介
松本和也[マツモトカツヤ]
1974年、茨城県生まれ。立教大学大学院修了、博士(文学)。現在、神奈川大学国際日本学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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