内容説明
浦島太郎の真の姿は神仙思想をもとにしたポルノグラフィーだった。
目次
序章 昔話「浦島太郎」への疑問
第1章 児童文学「浦島太郎」(国定教科書の浦島太郎;巌谷小波の浦島太郎)
第2章 神仙小説「浦島子」(日本書紀の浦島子;丹後国風土記の浦島子;伊預部馬養と「別巻」;万葉集の浦島子)
第3章 小説の発生(中国の神仙小説;馬養の神仙小説)
第4章 中世小説「浦島太郎」(漢文伝からかな物語へ;お伽草子の浦島太郎;浦島太郎の自由化)
終章 小説から昔話へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
52
3回目。著者は謎解きの本のようになってしまったと書くが、それがおもしろくて、何度も読み返している。私たちが知っている「太郎」としての物語と、最も古い文献である「丹後国風土記」との隔たりは大きく、今日、誰でも知っている浦島太郎のストーリーが、実は20世紀に入ってから、それも小学校の国語教科書によって定着していったものだという事実には改めて驚く。2019/03/28
へくとぱすかる
36
再読。何度読んでもおもしろい。著者も言うとおり、「謎解きの旅」として「夏の盛りに夢中になって」書かれたためだろう。古代の浦島譚が、いかに子ども向きの「昔話」に変化したか、非常に興味深い。ところで、「なぜ助けたのが魚やカニなどでなく、亀なのか」というのは、本書を読めば自ずと明らかになる。亀以外では、昔話としての浦島からは、隠されたテーマを満たさないからである。2017/09/02
NORI
21
読み友さん紹介本。 兼ねてより、浦島伝説の成り立ちについて気になっていて、調べたいと思っていた。 明治~昭和の教科書に書かれていたモノが、私たちが知る「浦島太郎」だという。先日「中国神仙奇談・天台山の神女」や「浦島明神縁起」を浦島物語の原型を確認したが、それらと教科書の浦島太郎の相違点を挙げながら、丁寧に浦島太郎の成立を考察している。口伝ではなく、文章で表現された物語として始まったいう説明も説得力があった。 将来、老後にでも取り組もうと思っていた課題だったが、この一冊であらかた片付いてしまった。2024/05/03
へくとぱすかる
7
「浦島太郎」は「昔話」ではなかった!ほとんど日本最古の『日本書記』に収録された、神仙思想の影響の濃い、最初から文字化された「恋愛小説」であった。これが本書を貫くテーマである。明治時代の教科書によって、ストーリーが固定化したことが再三述べられているが、唱歌「うらしまたろう」の影響の方が大きかっただろうと思う。その歌詞が、ほとんどストーリーを忠実に、要点をもれなく語っているからである。それにしても浦島のパロディが、狂言をはじめとして古くから行われていることには驚く他ない。よほど親しまれた証拠だろう。2013/12/21
憩子
3
『うらしまたろう』読み比べのため。2020/06/17