内容説明
拘置所に9ヵ月、17年間の休職にもめげず生態学の研究を続け頑張って生きてきた。その原動力は一体何だったのか。学問に対する熱心さ、権威に対する反抗、多くの人との関わりなど…。読み出したら止まらない痛快な自伝。
目次
特異な記憶二、三―第二のまえがき
昆虫好きになるまでの道
東京農林専門学校時代
農業技術研究所へ入る
内田・森下両先生との邂逅と処女論文発表
メーデー事件で逮捕・投獄
休職中の農研での仕事―野外研究・博士論文・『比較生態学』と『動物生態学入門』の執筆
アメリカ・カナダに出張
枯葉作戦とのかかわり
沖縄への赴任とウリミバエの根絶
沖縄・ミバエ以外の虫
沖縄時代の国外への旅幾つか
名古屋大学時代前半
バロ・コロラド島紀行・『狩りバチの社会進化』英語版を作る
オーストラリアのアシナガバチ類の調査
名大後半期の国外への旅幾つか
名古屋大学時代後半
沖縄大学に勤める
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.Sakurai
1
生態学者である伊藤嘉昭の自伝.進化心理学のブログ「shorebird」で知って読んでみた.紹介文にルイセンコ主義への言及があったのに引っ掛かったからだ.残念ながらルイセンコ主義関連の記述は僅かだったが,本全体がすごく面白い.恥ずかしながら伊藤さんの名前は知らなかったが業績は知っていた.ウリミバエ根絶と社会生物学の日本への紹介だ.それらを含めて学術的な内容を内外の人々との交友を交えて語る,その語り口が滑らかでダイナミックで実に楽しい.一面ではあっても日本の生態学や進化生物学の流れも読み取れる.2017/05/15