出版社内容情報
女であることの〈いのち〉をどのように表現できるのか。〈母さん人形の無意識〉〈ペニスの体内化〉〈生命の空洞〉〈貯留〉〈穴〉〈通路〉等など、女性の内部生命を〈内なる乳房〉のふくらむ痛みのように語りつづける精神分析的知のエッセイ。女性のいのちの表現活動は、〈受胎と生誕と再生の隠喩〉とパラレルにはたらいている。
アニー・アンジューは1924年 4月、フランスのクレルモン・フェラン生まれ。哲学を修め心理学と言語再教育(言語障害治療)の学位を取得。子どもの精神分析心理療法による治療に従事、1989年までサルペトリエール病院児童青年部精神分析医長をつとめた。1985年に「子どもの精神分析のための協会」を設立、会長としてドルト亡きあとの「子どもの精神分析」を代表する分析医として知られる。夫のディディエ・アンジューとの出会いはエコール・ノルマル時代に遡り、共に哲学と心理学を修める。
「著者は、『女性の特質は、不可視の肥沃な内部によって構成されている』とし、従来の『男根モデル』ではなく『女性の内部性のモデル』を採用する。『内部』とは、生と死の力を備え、官能の源泉である空洞。欠如でもなければ、子宮のみに還元されるものでもない。『女性は、この内部と外部との相互作用によって作られ』るものである。」(稲田奈緒美/図書新聞 1996.4.20号)
「これまで、女性学の内部には……展開のために設定するべき、初期条件を、未明のなかに放置したままであった。この未明の領域が、本書によって、初期性を得たということができる。……『欠如の理論』も『両性具有』も停滞を生む。……女の本能領域にアンジューは果敢に分析のメスを入れたのである。」(河野信子/産経新聞 1996.4.21)
内容説明
女であることの「いのち」を、どのように表現できるか。「母さん人形の無意識」「ペニスの体内化」「生命の空洞」「貯溜」「穴」「通路」等々、女性の内部生命を、内なる乳房のふくらむ痛みのように語りつづる精神分析的知のエッセイ。
目次
第1部 女性(フロイトの後、女であること;嵌めこみ;マゾヒズム;否定性と女性―特性のない女)
第2部 エクリチュール(言葉と女性;存在と行為)
第3部 女性分析家(肘掛け椅子に坐った精神分析医;分析者のことば;精神分析医であること)
感想・レビュー
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- 和書
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