内容説明
頭からかぶったオーバのボタン穴から爆弾が落ちるのを見てました―毎日の暮らしに突如として踏み込んでくる戦争の本当の顔を見たのは子供たちだった。第二次大戦下、ドイツの電撃的侵略に飲み込まれたソ連白ロシアの子供たちの記憶がつづる戦中世代の証言記録。
目次
一九四一年六月二十二日
ドイツ軍の下で
疎開の日々
孤児たち
少年兵
ただ記憶の中で
戦争が終わって
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
88
初読のアレクシエーヴィチ氏。対独戦争の起こった1941年6月から終戦までの白ロシア=ベラルーシの子供たち。彼らを40年後に見つけ出したインタビュー録だ。確かに残しておかなければいけないものだろう。しかし彼女自身の手による10ページほどの前書きは、彼らの生の言葉よりも圧倒的に戦争の悲惨さを伝えていたので、彼女自身の言葉で起こったことをまとめてもよかったのではないだろうか。戦争の悲惨さを伝える文章は限りなくある。胸を打たれたのは、戦後にこの子供たちを育ててくれたのはソ連だということ。2015/10/12
がらくたどん
39
先の大戦時独ソ戦で市街戦場となったベラルーシ。戦火のなかに当たり前だが多数の子どもたちがいた。後年大人になった彼・彼女等から聞き取った当時の記憶の集積記録。著者の論述部分は「はじめに」のみで、ひたすら子供たちの脳裏に焼き付いて消えない戦時下のスナップ写真のような記憶が続く。邦訳にあたり章立て分類したそうなので、原書はより脈絡のない悪夢と混乱の子供らが口々に騒ぎ喋るような記録であったのではと推察され、恐らく自分には耳を塞いで読み通せなかったかもしれない。今度はロシアが侵攻する。子どもの声を聴き直してほしい。2022/02/26
サトシ@朝練ファイト
34
過去に読んだ事のない内容でした 機会があれば他の作品も手に取りたいです2016/01/11
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
25
白ロシアにいた子供達の第二次世界大戦中の証言集。戦争という名の殺人暴行放火略奪。子供達は訳が分からず不思議だったに違いない。この犯罪を犯す者たちを捕らえて罰する人がいなくて、自分達が逃げ回らなくてはいけないのだから。今も世界のいろいろな所でボタン穴から戦争を見ている子供達がいると思うと心が痛む。大人になる子供達全ての教科書に載せて読んで欲しい作品である。2016/04/25
かもめ通信
23
原題はПОСЛЕДНИЕ СВИДЕТЕЛИ(最後の生き証人)、1985年に出版された本。第二次世界大戦のうちソビエト連邦がナチス・ドイツおよびその同盟国と戦った1941年6月から1945年5月までの戦いをさす大祖国戦争。本書は空爆、占領、疎開等,様々な形でこの大祖国戦争を体験した子ども時代の記憶を掘り起こした証言録だ。あの戦争を語ることができる“最後の世代”だと自覚したからこそ、口に出したくない、思いだしたくないあれこれを、あえて口に出して語った人たちがここにもいた。 2015/08/09
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- 和書
- 詩(ウタ)イ殺ス。