内容説明
この世に生を受けたまだ語り出す前の娘と言葉が語り出される前の世界のふるえを知る詩人がともに過ごした最初の半年そのかけがえのない時のなかで交わされた微笑と沈黙と視線に捧げる詩と絵の小篇。
著者等紹介
アイギ,ゲンナジイ[アイギ,ゲンナジイ][Айги,Геннадий]
旧ソ連チュヴァシ共和国出身の詩人。言葉が生む静寂と沈黙、故郷ヴォルガ河畔の自然、ヨーロッパ諸文化との交感を幾層にも重ね合わせながら、それをわずかな言葉にたたみこんで、現代詩に独自の境地を開いた。いま、世界的にもっとも高く評価されているロシア語詩人のひとり
たなかあきみつ[タナカアキミツ]
詩人。『アイギ詩集』のほか訳詩集にブロツキイ『ローマ悲歌』、クーチク『オード』(以上、群像社)、ジダーノフ『太陽の場所』(書肆山田)がある
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感想・レビュー
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fishdeleuze
20
娘が生まれてから、言葉を得るまでの間に書かれた詩と、生まれるずっと以前に書かれた詩を編んだ詩集。言葉を話さなくとも、喜びと光に満ち溢れたコミュニケーションがある。表情、頬笑み、喃語、そして《新たに生まれつつある》(まだ馴致されていない)動き。跳びはねる生命のピュシスを詩人が捕まえる。そして、今ここでの跳躍とともに、相似形としての家族の顔や血のつながりが、瞬時に現れては消えるのを見る。美しく心あたたまる。2016/01/13
新地学@児童書病発動中
5
ロシアの詩人の詩集。六番目の娘の成長をモチーフにした連作詩集。難解だが、彫刻のような手触りの確かな言葉で、赤ん坊が小さな子供に成長してい姿が、くっきりと描かれている。子どもの重さと薔薇のつぼみの重さを対比させた詩は見事。こういうマニアックな読者が少なそうな本を出してくれる群像社に拍手。2010/10/24