群像社ライブラリー<br> 滅びの都

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群像社ライブラリー
滅びの都

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  • サイズ B6判/ページ数 505p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784905821427
  • NDC分類 983
  • Cコード C0397

内容説明

全人民の幸福を実現する実験のため「都市」では国家を捨てた人間たちが世界中から集まり働いている。人工太陽が明滅する「都市」の内部では、労働する人間に進化するはずのサルの群れが暴れ、赤い館に入った住民の連続失踪事件が起こり、急進改革派はクーデタで起死回生をはかる―。ごみ収集員から大統領補佐官にのぼりつめたロシア人アンドレイと過去の文書を読みふけるユダヤ人カツマンの都市=地獄めぐりを軸に、全体主義のイメージを脳裏にきざみこむストルガツキイ兄弟最期の長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

em

19
偉大なる〈実験〉が行われる〈都市〉。全体主義を茶化すことにかけては、ロシアに勝てる国はない。ディテールの面白さに、命をかけて書き、原稿を隠さねばならなかった、彼らの魂が詰まっている。そして重い主題に、あの独特の、絶妙のおかしみ。〈実験〉にほころびが生まれ、都市が滅びつつあっても、彼らは全体主義の中に閉じこめられている。偉大な者のゲームに従い、個々の仕事に集中することだけが求められる。飾りを取ってみれば、崩れかけた主義も、〈実験〉も、私たちが今いる場所にどこか似ている。2018/01/17

relaxopenenjoy

4
達成感大。読むのがなかなか大変だった。<赤い館><教導師><水晶宮伝説><実験><転換><都市><アンチ都市>、動く像、etcetc。全体不穏な、得体の知れない恐ろしい雰囲気が漂い、現在なのか過去のことなのか、現実なのか妄想なのか、独白なのか会話なのか、パビリオン、塔がどこなのか、など随所でついていけなくなりかけ、イデオロギー的な記述のところも難しく、何度も「?」「?」となったけど何とか最後まで。お酒の飲み方が豪快はソ連らしい。他のストルガツキイ兄弟の著作もチャレンジしたいくらいなかなか面白かった。2021/12/22

ろびん

3
やはりソビエト・ロシアといえば全体主義的ディストピアですね。面白かったです。 <教導者>や<赤い館>などの要素は難解で、少しつっかかってしまいましたが……。精進します。2018/10/26

...

1
お行儀の良い基地外たちの冒険譚。ソ連から発禁処分を食らうからという理由で発表できるまで隠されていたという話の作品ではあるけど、例えば共産主義だけを批判してるわけではなく、あらゆるモノを肯定も否定もしてない。いってみれば、何も信じてないから、こいつオカシイぞ、ってことだ。2017/01/15

kozy758

1
「実験」が行われている社会。それを疑うことは許されない。街を襲う猿たち。人を飲みこむ家。ゴミ収集員、日本人、売春婦、酔っ払いで武器を持つおじさんなどが織りなす社会。絶望的かと思われる結末にかすかな希望がみえる。作者の深い思慮が感じられる。

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