内容説明
言語ゲームとは何か…後期ウィトゲンシュタインの代表作『哲学探究』をわかりやすく読み解く。
目次
第1章 語の意味とは何か(語の種類―第1節;建築家と助手―第2節 ほか)
第2章 言語ゲーム(Sprachspiel―第7節;言語ゲームの拡張―第8節 ほか)
第3章 語の意味とは、その使用である(語の意味―第38節、第40節、第43節;家族的類似―第65節、第66節、第67節、第69節、第70節、第71節)
第4章 私的言語(ひとりごとしかいわない人たち―第243節;痛み―第244節 ほか)
著者等紹介
中村昇[ナカムラノボル]
1958年、長崎県生まれ。中央大学文学部教授。中央大学大学院文学研究科博士課程修了。哲学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
28
独特の比喩を使ったウィトゲンシュタインの問題のとらえ難さ、いったん捕まえてみるとその問題の深さに気付き、その後その広がりにも気付きます。前半で『哲学探究』の冒頭30節位を集中的に読解し、その展開を後半で行うことにより、『哲学探究』の一部分を読んでみせています。『論考』の語と意味が対応した写像関係から、人間が生きる背景を伴った網の目の中で言葉が使われ、言語ゲームというその使用を通じてしか表すことができない。それを意味とも言えないことこそ、言語のあり方そのものである。ちょうど『論考』における論理形式は語りえな2020/11/15
さえきかずひこ
12
ヴィトゲンシュタインの死後、1953年に発表された『哲学探究』についての入門書。同書を適宜引きながら、語の意味の問題、言語ゲーム(Sprachspiel)、私的言語論について、それぞれ丁寧に解説を試みている。彼の哲学が言語に対する根源的な関心から生まれたことがよく伝わってきたが、それは決して平易なものではない。朝の通勤時に電車の中で読んでいたのだが、読み始めるとたちまち意識が飛んで夢の世界の住人に成り果てたのも、むべなるかな。類書を探し複数あたった上で、いずれ『哲学探究』そのものにも挑戦したい。2018/06/01
is49
4
ウィトゲンシュタインの『哲学探究』について淡々と丁寧に解説していく趣の本。このペースでやっていたら終わりがない、とのことで全体の数%のみですが、「言語ゲーム」や「私的言語」等の重要な概念について重点的に取り上げられています。『哲学探究』そのものはあまりに難解で解読不能ですが、この本を読むとウィトゲンシュタインの思考過程を追体験しているようで非常に面白い。「言語ゲーム」はドイツ語(Sprachspiel)で言った方が概念が分かりやすいというのは目から鱗でした。2014/11/13
りっとう ゆき
3
著書の数パーセントしかとりあげていないとのことだけど、入門としては大変分かりやすいものだった。言葉を使うというのは、漠然とした世界を言語で切り取ってるイメージ。また、言葉=意味じゃなくてその場その場なのだと言うこと、など。2021/01/03
愛楊
1
2014年出版。中央大学大学院修了の著者による『哲学探究Ⅰ』の方の入門書。言語ゲームと意味の使用説、私的言語論が解説されており、指示の逆説は含まれていない。言語ゲームと意味の使用説は(生活形式を除けば)言語モデルの挙動をもとにして容易に理解することができる。ただし、言語の社会性に焦点がある私的言語論をそのまま言語モデルに適用することは難しいように思った。『哲学探究』は、言語ゲームを言語以外の振る舞いにまで拡張可能なものとして提示されているため、言語と(通常の意味での)非言語が混ざりがちであるのが難点。2024/07/11