内容説明
エレベーター、アパート、冷蔵庫、自分専用のバスルーム、水仙、雪。見るもの聞くものすべて初体験のアメリカで、アンティグワ出身の娘が、母の呪縛をふりきろうとするみずからを堕天使ルシファーに見たて、少女から大人への自己創造のために必死の格闘を繰り返す。階級・性・人種問題への鋭いまなざしが冴える話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mark.jr
3
カリブ海のアンティグア・バーブーダ出身の作家Jamaica Kincaide。カリブの故郷を離れて白人家庭の住み込みメイドとして働くルーシーを主人公とする本書も、ポストコロニアル文学の流れにあるものですが。ルーシーが雇い主の妻・マリアに向けるアンビバレントとした感情が、そのまま離れた故郷への愛憎と重なることで、ポストコロニアルの文脈から離れて、一人の家を飛び出した若者の普遍的な物語としても読めるようになってます。比喩表現などの文章も巧みな良作です。2025/06/02
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