内容説明
人種主義の抑圧を逃れ、黒人の村へ亡命したカラードの女。菜園づくりの日常と、闇の世界で繰り広げられる二人の男との異常な関係とに、引き裂かれ続ける意識。この狂気からの再生を渾身の力で描き出す、南アフリカ出身女性作家の自伝的作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
cochou
3
南アで混血児として過酷な生活を強いられたエリザベスは隣のボツワナに逃れた後は悪夢と狂気に精神を痛め付けられる。狂気の描写は非合理で理解不能だが脅迫と猥褻に満ちて恐ろしさはよく伝わる。 一方で現実の生活は畑作りが成果を出したり、ボツワナ人や欧米の支援者と交流したりと穏やかなシーンもある。しかしエリザベスの狂気が現実の人間関係も破壊し、事態は深刻化する。 タイトルが「力の問題」というのは、力を善の方向に向ければ良いというの間違い、力そのものが悪をなす。それを解決するのは愛ということのようだ。2020/08/03